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第072話|ココ編【——っ!どういうこと?】

——森の中


アーラが、村の方角へ顔を向けた。


その様子を見たパックが言った。


「……やっぱり、何か隠してるでしょ」


「……ひょっとして、ココが危険なんじゃ……」


「……それは、まだない」


アーラが失言した。


「——!」


パックが詰め寄った。


「“まだ”ってなに! どういうことか説明してよ!」


アーラが深くため息をついた。


「……小僧、会った頃に戻れ」


パックが目を見開いた。


「……は? なに言ってんの? 話を逸らさないで!」


アーラは観念した。


「……落ち着け。順を追って話す」


パックがおとなしくなった。


アーラは、パックをちらりと見た。


「……教団軍だったか? そいつらが、小娘と一緒に応戦している」


パックの鼻息は、まだ荒かった。


アーラは、なぜ自分がパックに気圧されているのか、何となく納得がいかなかった。


「……壊れた同胞の数が多い」


パックの指が、ぴくりと動いた。


アーラが焦った。


「……落ち着け」


「……押されているのは教団軍だ。小娘は、まだ戦えている」


「俺に見えたのは、そこまでだ」


パックが深く息を吐いた。


「……分かった」


「……援護に行けないのも分かった」


「……無茶しないから、ちゃんと話してよ……」


アーラは、その言葉に驚いた。


心を見透かされたような気分だった。


パックが、村の方角を見た。


「アーラが行っても、余計に混乱するよね……」


「姿が見えなければ、問題ない……よね?」


アーラが顔をしかめた。


「……何を言っている?」


パックが、誰もいない空間へ話しかけた。


「……お願いがあるんだ」


「僕はアーラと離れない。だから、安心して」


「……ココを助けに行ってほしい」


サァァ……


一筋の風が吹いた。


“お節介な風”が答えた。


そして、その風は村の方角へ吹き抜けていった。


「……」


アーラが唖然とした。


「……」


「……その精霊とやら、俺とは話せんのか?」


パックがアーラを見た。


「……多分、無理」


——ココ隊


雷を帯びたココが、戦場を駆けていた。


兵士たちの気力は、ココの後ろ姿によって保たれていた。


(……八……九……そろそろ切れるわね……)


ココの帯電時間、十秒が終わろうとしていた。


蟻の魔族から距離を取るため、体勢を変えようとした。


——違和感。


時間が過ぎているはずなのに、雷が消えない。


(……十一……十二……数え間違えた?)


戦いの最中だからだ。


そう考えようとしたが、何かがおかしかった。


違和感に気を取られ、わずかな隙が生まれた。


蟻の魔族の攻撃が、ココへ襲いかかった。


咄嗟にオーブを構えた。


色は紅。


ココの翠の髪が、炎を纏った。


ココが放った火球によって、蟻の魔族が火だるまになり、吹き飛んだ。


「——っ!!」


驚いたのは、ココだった。


魔法の威力が上がっている。


それだけではない。


まだ、雷が消えない。


ココは蟻の魔族を蹴り、感電させた。


蟻から蟻へ。


蹴って、蹴る。


次々と無力化されていく蟻の魔族。


兵士たちは、動かなくなった蟻の魔族へ槍を突き立てた。


徐々に数を削られていた聖騎士団が、一転して、次々と敵を制圧していく。


兵士たちは鳥肌を立てた。


鬼神のごとく戦場を駆けるココ。


その背中に押され、兵士たちの士気は限界を超えた。

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