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第071話|ココ編【……約束は、絶対守るわ】

——ココ隊


戦いながらの進軍は、救援の足を遅らせた。


思うように、救出へ向かえない。


蟻の魔族の襲撃は、待ってはくれなかった。


さらに、道中では避難民の捜索も行っていた。


ココの身体は、一つしかない。


部隊の後方が襲われれば、駆けつけるしかなかった。


視界の先で、別働隊の異変を感じていたとしても——


数人の兵士が、蟻の魔族へ槍を突き立てた。


「今ので最後ね?」


ココが確認した。


「前方で別働隊が襲われてる。急ぐわよ!」


到着すると、隊長が血を流して倒れていた。


そして、四人の兵士が、五体の蟻の魔族を相手に戦っていた。


ココの身体は、すでに雷を帯びていた。


残像を残して、その場から消えた。


兵士たちの視界を、青白い光が通り過ぎた。


手前の二体を感電。


奥の三体を凍結。


一瞬にして、五体すべてを無力化した。


兵士たちが、次々と槍を突き立てた。


ココの身体から雷が消えた。


そして、すぐさま隊長へ駆け寄った。


傷を確認すると、ココはすぐに傷口を凍結させ、止血した。


冷気によって痛みが麻痺し、苦痛に歪んでいた隊長の表情が、ほんの少しだけ柔らかくなった。


だが、ココが行ったのは止血と麻痺だけだった。


治癒ではない。


傷の深さを見て、もう助からないと判断していた。


「凍結魔法よ。止血したから、もう大丈夫」


「安心して」


ココは、隊長へ優しく語りかけた。


隊長が、残された力を振り絞って口を開いた。


「勇者様……ありがとうございます……」


「隊長、今は喋らない方が——」


兵士が心配し、止めようとした。


ココは手のひらを向け、その言葉を制した。


「隊長、続けて……」


ココは、隊長の手を強く握った。


隊長が続けた。


「……うちの子が、ココ様のことが大好きで……」


「一番下の子なんか……私より、ココ様が好きって……言うくらい、なんですよ……」


隊長が咳き込んだ。


口角から、血が滴った。


ココは頷いた。


「……この戦いが終わったら……会ってやってもらえませんか?……」


ココは両手で、隊長の手を包んだ。


「嬉しい。ぜひ、会いに行かせてもらうわ」


隊長が微笑んだ。


「それから……家族に……ありがとうって……伝えて……」


そこまで言うと、隊長は喋らなくなった。


「……」


ココはそっと、隊長の両手を胸の前で組ませた。


そして、隊長の部下たちへ告げた。


「……後方の救護班まで、運んであげて」


部下たちは、涙を拭っていた。


ココはゆっくりと立ち上がった。


祈りを捧げる時間さえないことも、分かっていた。


「……祈りは、各自、心の中で……ね」


兵士たちは、何も言わなかった。


次は、自分かもしれない。


誰もが、そう思っていた。


そしてまた、戦いが始まる。


兵士の声が響いた。


「十時の方向! 蟻の魔族、三体確認!」


ココは心を、切り替えた。

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