↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
44/151

第044話|ココ編【……】

ココの愛馬が駆ける。


パックはココの後ろに乗っていた。


ココがもじもじする。

「ちょっと、そこじゃなくて、ベルトを掴んでくれる?」


パックが焦る。

「あっ、ごめん。乗り慣れないから……」


ココが返す。

「アーラに乗る方が、難しいと思うけど」


言った後に、しまったな、と思った。

同時に、ちょっとアーラに乗ってみたかったな、とも思った。


パックが振り返り、空を見上げた。


ココはバランスが少し崩れたが、何も言わなかった。


村に入る前にパックを降ろす。

「ここで待ってて、村の人と話してくる。パックが見られるとマズいかもしれないし」


「そしたら、今日中に王都に出発しましょ」


パックはまた、空を見ていた。


「……わかった」


———王都


到着は夜だった。


門兵は、ココに敬礼をした後、パックをジロリと睨んだ。


ココが門兵に説明する。

「戦災孤児よ」


王都では戦災孤児が、当たり前のように受け入れられていた。


だから、誰も気に留める者はいなかった。


ただ、パックはずっと見張られているようで、あまりいい気がしなかった。


ココの屋敷に到着する。


ここにも護衛がいた。


護衛がパックを睨む。


ココが説明する。

「戦災孤児よ、ケアは私がやるわ。干渉は不要よ」


護衛は敬礼するが、パックを目で追い続けた。


パックは、屋敷を見て驚いた。

だが、中に入るともっと驚かされた。


使用人たちが整列し、ココを迎える。

マント、上着、鞄を、それぞれ受け取る人間がいた。

パックの上着も受け取りに来たが、パックは断った。


だが、トールの形見のサバイバルナイフだけは、さすがに屋敷の中まで持ち込むのは無理だった。


使用人は受け取ったサバイバルナイフを見てギョッとする。


トールの刻印が入っていた。


使用人は刻印にナプキンをかけて、丁重に保管した。


すぐさま執事長に報告が入る。

執事長の細い目が開く。


執事長がココに耳打ちする。


執事長はココの話を聞いて軽く頷き、静かに下がった。


執事長と使用人たちは“ココ側”の人間だった。


だが、屋敷の門にいる護衛は違った。

教団側で、ココの監視が裏の任務だった。


パックは、カトラリーがずらりと並ぶ席に案内された。

そして、立体的に折られたナプキンをまじまじと見つめていた。


パックの様子を見ていたココが、昔の自分と重なった。


パックに優しく語りかける。


「私の真似をすればいいわ」

「分からなかったら聞いて」


そう言ってナプキンを解いて見せ、膝に乗せた。


執事長には、帰ってきたココが、同年代の友達を連れてきたように見えた。

そして、“一人の女の子”になっているのを感じて、微笑ましく思った。


やがて、料理が運ばれてくる。


パックはココのやり方を見て、食べ始める。


だが、サバイバルナイフで直接食べる癖が出てしまう。


ナイフで刺し、そのまま口に運ぶ。


それを見た全員が目を丸くした。


それぞれが顔を見合わせた。


——空気が緩む


食卓に笑顔が溢れた。


温かい湯に浸かり、部屋に通された。


ふかふかのベッドに座る。


昨日までは、アーラの腹に寄りかかり、翼に包まれて眠ったのを思い出した。


ベッドが広すぎて、その日はよく眠れなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。