第041話|ココ編【……何よ、変なこと言わないで】
「手をっ!!」
パックが手を伸ばす。
ココも手を伸ばした。
———二人は手を繋いだ。
二人の身体が共鳴する。
オーブに“何か”が入り込んだ。
オーブが輝く。
——色は
冷静な青
優しい白
二つの色が混じり合い、渦を巻く。
氷の結晶が上空に筒状の雷雲を作り出す。
雲の内部に光が迸る。
——次の瞬間。
轟音とともに、視界が真っ白な光に切り裂かれた。
起き上がろうとした二頭魔族が天を見上げる。
———直撃
地面に雷が走り、弾ける。
真っ白に焼かれた二頭魔族が、硬直したまま横に倒れる。
二人は顔を見合わせる。
「トールだ」
「トール様だわ」
———同時だった。
二人は笑顔になる。
「すごい!!」
「やった!!」
パックが拳を突き出す。
ココがキョトンとしてそれにならう。
———コツン。
パックが抱きつこうとするが、ココが避ける。
「ちょっ、何するつもりよっ!」
「ごめん、つい」
ココの耳が赤くなる。
「……さっき、危なかったんだからね」
「私が魔法で———」
ココはそれ以上言うのをやめた。
声がこもる。
「……来てくれて、ありがと」
パックが聞き返す。
「えっ?なに?」
ココは後ろを向いてしまう。
「……何でもないっ」
「私は、生存者を探してくるわ」
「——あなたは?」
そこで、はっとする。
まだ名前を聞いていなかった。
「あなた、名前は?」
「パックスだよ。パックって呼んで」
「君は?」
「ココよ」
「ふうん、可愛い名前だね」
「———っ!?」
ココの耳が熱くなる。
パックが答える。
「僕は、アーラが心配だから戻るよ」
ココが不審そうに返す。
「アーラって、あの翼の魔族?」
「……名前なんてあるの?」
パックがあっけらかんと返す。
「僕がつけたんだよ」
ココの目が丸くなる。
「……は?魔族に名前?なに考えてるの……」
「魔族って人間食べるのよ?それをあなたは———」
パックが遮る。
「食べないよ、魔族は人間を食べない」
「アーラはリンゴが好きなんだ」
ココが言葉を失う。
「……」
パックが悲しい顔をする。
「村で暴れてる魔族は、我を失ってるんだ」
するとアーラが飛んできて、着地に失敗する。
「小僧、逃げた人間たちが戻ってくるぞ」
「乗れ」
怪我した脚を庇いながら、立ち上がる。
パックが尋ねる。
「あの子は?」
アーラが急がす。
「置いてきた、どうせ人間たちが回収する。それより急げ」
パックはアーラを気遣いながら背に乗る。
「……」
一度、ココを見た。
そして飛び去っていった。




