第040話|ココ編【……ちょっと、それ、汚いからやめて】
二頭魔族が消え、地面に氷だけが残る。
「———っ!!」
オーブの色は翠。
——突風
視認できない爪が、ココを切り裂こうと迫る———。
だが、避けきれなかった。
ココの袖が破れる。
遅れて鮮血が飛び散った。
二頭魔族の身体から光が消える。
「……向こうも時間切れね」
ココは横目で腕の傷を確認した。
「……まだ、いける」
——魔法には理を再構築する時間がある。
ココは軽い魔法で、速いサイクルの戦闘をしていた。
重い魔法には、再構築までの時間がかかる。
「15、14、13……」
身体強化魔法の再構築時間をカウントダウンする。
二頭魔族の体勢が沈む。
「——来るっ!」
かろうじて視認はできた。
唾液を飛ばしながら、牙を剥いて突っ込んでくる。
「え……噛み付くの?」
ココは飛び散る唾液を見て、“嫌だな”と思う。
「———私、避けるだけじゃないよ?」
オーブが“金”に輝く。
ココの輪郭が金色に輝く。
地面が隆起する。
足元から石の槍が突き上げた。
二頭魔族の“片方の頭”を貫いた。
その直後、
二頭魔族が爪を振り下ろす。
ココは、かがんで避ける。
翠の長い髪を掠める。
オーブが翠に輝く。
ココは突風で少し広めに距離を取った。
「7、6、5……」
オーブが紅に輝く。
ココの翠の髪が逆立ち、炎を纏う。
そして、火球を放った。
——その時だった。
二頭魔族が貫かれた頭を引きちぎった。
そのままバックステップ。
「———!!」
二頭魔族へ放った火球は、石の槍“だけ”を焼いた。
「……まさか引きちぎるとはね」
「3、2、1……」
———その時だった。
こちらに誰かが駆けてくる音。
「———まさか!?」
パックだった。
「———今来たらダメッ!!」
二頭魔族の足元に魔法陣が浮かび上がる。
再び、体が光を帯びる。
二頭魔族は、走ってくる人間に視線を向けた。
体勢が低くなる。
二頭魔族は、残像を残して消えた。
ココが焦る。
オーブが翠に輝く。
ココの翠の髪がふわりと浮いた。
「———当たって!」
何もない空間に真空の刃を飛ばす。
「———お願い!」
その時だった。
———何かに導かれたのか……それは分からない。
だが、“まぐれ”が起こる。
“何もない”空間から二頭魔族が吹き飛んだ。
高い鳴き声とともに木に叩きつけられる。
ココは拳を握り、小さく跳ねた。
「——やった!!」
「手をっ!!」
パックが手を伸ばす。
「——!?」
ココも手を伸ばした。
———二人は手を繋いだ。
二人の身体が共鳴する。
オーブに“何か”が入り込んだ。
オーブが輝く。
——色は
冷静な青
優しい白
二つの色が混じり合い、渦を巻く。
氷の結晶が上空に筒状の雷雲を作り出す。
光が迸る。
——次の瞬間。
轟音とともに、視界が真っ白な光に切り裂かれた。




