↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
30/149

第030話|ココ編【……声まで、大きいわね……】

———上空


パックが体勢を低くする。


「南西部なんて、けっこう遠いのに分かるの?」


アーラが力強く羽ばたく。


「ああ、距離があると正確な位置や、輪郭などは分からないがな……」


「だが、ほぼ間違いない。同胞だ」


「……壊れていないことを、願うがな……」


パックは少し間を置いて答えた。

「……そうだね」


「アーラは大丈夫なの?同胞が……その……」


それ以上聞けなかった。


アーラが即答する。


「壊れた同胞に同情はするが、“元に戻れない”なら……仕方がないな」


「……お前が背負う必要はない」


パックは返す言葉が見つからなかった。


———地上


ココが体勢を低くして馬を走らせている。


ココは小柄なため、馬への負担は少なかった。


森の道を抜けると、視界が広がる。


———ココが見た光景は異様だった。


西の森から村に向かって薙ぎ倒されている木々の道。


そして、村の外れで暴れる魔族。


周囲の木々や家とのサイズ感がおかしい。


その巨大さは一目で分かった。


さらにその魔族の姿———。


巨大な頭と発達した顎。

太く、長い尻尾。

それらを支える、丸太のような脚。


その尻尾で木々を薙ぎ倒していた。


すでに村の外れに被害が出ている。


ココの背筋に冷たいものが走った。

「———っ!!」


「もう少し、頑張ってね」


馬に話しかける。


「ハッ」


馬の腹を両足で挟む。


手綱を緩め、再度体勢を低くする。


———風の圧が強くなる。


力強い蹄の音がリズム良く響いていった。


村に到着すると、馬の手綱は結ばずに、声をかけた。


「危なかったら逃げてもいいのよ?分かった?」


そう言って馬の首を撫でた。


馬は一度だけいなないた。


ココは逃げ惑う村人に話しかけた。

「被害者は?」


村人が鬼気迫る勢いで答えた。

「知らねぇよ!自分が逃げるので精一杯だ!」


村人の視線が、ココのマントの“勇者のブローチ”に止まる。


村人

「ゆ……勇者様?!」

「……助けに来てくれたのですね!」


ココが優しい目になる。

「もう大丈夫よ!」


ココが緊迫した表情に戻る。


「さぁ、急いで避難して!」


村人が慌てる。


「わ……分かりました」


村の早鐘が鳴らされている。


民家から転げ出る村人。


村中に悲鳴が溢れていた。


子どもの泣く声。


忘れ物を取りに戻るか迷う者。


誰もが、死の恐怖に混乱していた。


———次の瞬間。


重い咆哮。


空気が震えた。


一瞬の静寂。


悲鳴が上がる。


そして村人が転び、家畜が恐怖で暴れ出した。


ココは村への被害を抑えるため迎撃に出る。


「村の皆は、早く避難を!」


「……奴は、私が止めます」


———直後。

二度目の咆哮。


その咆哮は、ココの身体の芯まで響き、振動させた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。