第148話|ココ編【——まだ、終わってない!】
一筋の風が吹いた。
風が塵を舞い上げた。
パックとココは手を繋いだまま、崩壊した教会を見つめていた。
ガラリ……と瓦礫が崩れた。
先ほどまでサンデルが立っていた場所に、教会の鐘が落下していた。
陽の光を反射して、金色に輝いた。
「……」
パックとココは、繋いだ手を互いに握りしめた。
鐘のすぐそばに、“壁”の姿が見えた。
尻餅をつき、後ろに手をついて鐘を見つめていた。
「……」
ピィィィィ……
上空から鳴き声が聞こえた。
パックとココはハッと顔を見合わせた。
そして同時に空を見上げた。
陽の光を浴び、白金に輝く竜が見えた。
「——!?」
ココは指笛を鳴らした。
すると愛馬が駆けてきた。
ココはパックを見た。
「一緒に来て!」
パックは頷いた。
二人はココの愛馬に跨った。
「ハッ!」
ココが一声かけると、馬は首を後ろに引き前足を少し上げてから駆け出した。
二人は体勢を低くした。
馬は速度を上げた。
「王都の外へ誘導するわ」
ココは腰につけた袋を少し開いてパックに見せた。
「——!?」
開いた腰袋の中には魔族の骨が入っていた。
パックはココのベルトを握りしめた。
そして振り向いて、空を見上げた。
白金の竜が追ってきていた。
「……」
パックは喉を鳴らした。
白金の竜が首を後ろに引き、口を開けた。
「——っ!?」
喉の奥が光った。
「——ココっ!攻撃が来る!避けてっ!」
白金の竜が顔を突き出し、火球を放った。
ゴオッ!
「——くっ」
ココは馬を道の左端に寄せた。
火球は道路に着弾し、燃え上がった。
熱風が、二人を煽った。
白金の竜が再度首を後ろに下げた。
「——次が来るっ!」
パックはココのベルトを強く握った。
白金の竜はまた火球を放った。
ゴオッ!
ココは馬を道の右端に寄せた。
そして二発目の火球も道路に着弾した。
また熱風で煽られた。
「——くっ」
前方に城門が見えてきた。
「——あと少し、抜けるわ!」
パックは一度前を向き、城門を見てから、再度白金の竜へと向き直った。
白金の竜がまた首を後ろに引いた。
「——また来るよっ!」
ココは眉をひそめた。
城門にはまだ、門兵が残っていた。
門兵は馬で駆けて来るココと、上空から追って来る白金の竜を交互に見て、左右に散開した。
そのうちの一人が転んだ。
「——っ!?」
ココは目を見開いた。
速度は緩められない。
このまま進めば、火球はおそらく転んだ門兵のあたりへと着弾するはずだった。
「——早く立って!」
ココは叫んだ。
転んだ門兵は腰が抜けたらしく、這いつくばって逃げようとしていた。
白金の竜は火球を放った。
ゴオッ!
三度目の火球は、ココたちの進路を読んで放たれていた。
城門に迫る火球。
その時だった。
バサッ、バサッ!
大きく羽ばたく音とともに、ココたちは大きな影に覆われた。
パックは真上を見上げた。
「——!?」
黒銀の竜がそこにいた。
黒銀の竜はすかさず火球を放った。
白金の放った火球へと一直線に向かっていった。
そして、二頭の竜が放った火球同士が衝突した。
ゴオッ!
爆風が辺りを吹き荒れた。
門兵たちは、真上に現れた黒銀の竜に、みな腰を抜かした。
ココたちはそのまま城門を駆け抜けていった。




