第147話|ココ編【お前たちはもう、終わりです】
サンデルが“滅”に合図を出した。
“滅”が頷いた——その時だった。
「——ぐぁっ!」
誰かの叫び声が教会に響いた。
ココの足元の魔法陣が消えた。
ココはタタラを踏んだが、すぐさまパックの方へと走った。
「——何事です!?」
サンデルが声のした方を向くと、“静”が倒れ込み、ふくらはぎを押さえてのたうち回っていた。
「——!?」
“静”の近くで細長い影が動き、姿を消した。
「——!」
パックはココを支えて、サンデルから距離を取った。
声をひそめた。
「ピットだ」
「——!?」
ココの目が見開かれた。
そしてパックが天を仰いで力一杯叫んだ。
「アーラっ!」
その声は教会の吹き抜け全体に響き渡り、こだました。
——上空
「——!?」
その時、パックの所在を探して旋回していたアーラが、パックの叫び声を捉えた。
そして、教会の屋根に降り立った。
教会の中にココとパック、そして覚えのある弛んだ体の輪郭を捉えた。
アーラは鐘楼の隙間から叫んだ。
「教会を破壊する!外に逃げろ!」
「——!?」
その声はパックにだけ届いた。
アーラは頭上を飛ぶ黒銀の竜を見た。
黒銀の竜は頷いた。
パックはココの手を引き、教会の外に出た。
ピットもパックに続いて外に出た。
サンデルは両手を広げ、ココとパックに言い放った。
「逃げても無駄です!どこまでも追いかけてあなたたちを処分します!」
「勇者ココよ!お前の屋敷の者たちも、全て処分しますよ!」
次の瞬間。
ギィィィィン!
ピシッ……という音とともに、教会の屋根にヒビが入った。
アーラが飛び立った。
その屋根へ、黒銀の竜が放った火球が直撃した。
ゴゴン!……
ガラガラガラ……
教会の鐘と屋根が崩れ落ちた。
「——ん?」
サンデルは上を向いた。
「——っ!?」
頭上から、教会の鐘が降って来た。
サンデルは落ちてくる鐘の影に飲み込まれた。
サンデルと同時に“壁”も頭上を見た。
「——っ!?」
サンデルには鐘、自分には瓦礫が降って来た。
“壁”は咄嗟に魔法障壁を張った。
——自分の頭上に。
魔法障壁は瓦礫を弾いた。
同時に鐘の音が響いた。
——ゴォォォォ……ン………………
塵が視界を塞いだ。
そして一陣の風が吹いた。
風は塵を舞い上げた。
そして、視界が晴れた。
“壁”は隣にいたサンデルを見た。
「——!……」
巨大な鐘の下には、赤黒い葡萄酒のような液体が広がっていた…………




