第146話|ココ編【……どう……して……】
——教会
ココは眉をひそめた。
(……それなら、至近距離で……)
すると、足元に魔法陣が浮かび上がった。
「——!?」
ココは残像を残して消えた。
(……今のは……)
サンデルの護衛の一人が何か詠唱しているのが見えた。
(あいつも、術者なのね……)
(高速移動はあと数秒……)
(——大丈夫っ、いけるっ)
ココは壁を蹴った。
全員、目で追えていなかった。
再度壁を蹴った。
もう一度、蹴った。
サンデルの背後へと回り込んだ。
(……このままっ!)
サンデルへと一直線に向かった。
——その時だった……
ココの魔法が、祝福が、消えた。
「——え……」
ココはそのまま失速して、サンデルの手前に着地した。
ココが着地したのと同時に、足元に魔法陣が浮かび上がった。
「——しまっ……」
「——っ!?……動けない……」
「ふふふ……」
サンデルがゆっくりと振り向いた。
「自分から近づいて来てくれるとは……愚かですね」
「……さて」
「叛逆行為は処分しないと、ですねぇ……」
サンデルはココを見下ろした。
「……何か言い残すことは?」
「——くっ」
ココは動こうとするが、指一本動かせなかった。
その時、教会の入り口の扉が開かれた。
パックは目の前の光景に、目を疑った。
「——ココ!?」
「——パック!?……来てはダメ……」
「こいつがサンデルよ……何か秘密の能力が……」
サンデルがパックを見て片方の眉を上げた。
「……誰ですか、あなたは……」
「……パック?……聞いたことない名ですね……」
「……そん……な……ココ……」
パックは手を震わせた。
ココの姿が、最後に見たトールの姿と重なった。
「……あ……あぁ……」
「——ココに何をしたっ!」
パックが声を張り上げた。
サンデルが肩をすくめた。
「……何もしていません……自分から来たんです……」
「——くっ」
パックは周りを見た。
サンデル以外に五人いた。
「……」
パックは、じりっ……と、腰を落とした。
「——パック、ダメ……」
ココの声が震えた。
「……おやおや……あなたたち、そういう関係ですか?……ふふふ……」
「……」
パックは腰につけたナイフの柄に手を添えた。
「……待ちなさい、この小娘を殺しますよ?」
「……どのみち処分しますが……ふふ」
パックの動きが止まった。
「……くっ」
「そこで見ていなさい……逆らうと、どうなるかを……ね」
サンデルが“滅”に合図を出した。




