第135話|ココ編【家族とは、こういうものなのかもしれんな……】
——上空
「——!?」
アーラが二頭の巨大魔族が王都方面に向かったのを捉えた。
「……」
「……パック……」
「——なに?」
パックはアーラを見た。
「……」
「ココは普段どこにいる?」
「——えっ、分からないけど、家は王都だから、王都かな……」
「……」
アーラが黙った。
パックが身を乗り出した。
「——まさか!」
アーラが目を細めた。
「……そのまさかだ」
「当然、行くんだろ?」
「……」
パックは俯いた。
「……行かなきゃ……だけど……」
手を握りしめた。
「アーラが目撃されたら……」
アーラが鼻を鳴らした。
「……俺に考えがある」
「えっ」
「俺はまだ全回復していない」
「……」
「そして、この敵には勝てない」
「——!?」
パックは喉を鳴らした。
「……それほどの敵だ」
「だが、撹乱はできる」
「パックはピットと行動しろ」
「——!?」
「俺とは別行動だ」
「……」
パックは手綱代わりのマフラーを握りしめた。
「ココと合流出来ればチャンスはある」
パックが顔を上げた。
「……」
「分かったな」
「……うん」
「それと……二頭いるが、片方だけ壊れていないかもしれん」
「——えっ?」
「まだ断言はできん……動き方が違うというだけだ」
「……」
「そして、今から大事なことを言うぞ……よく聞いておけ」
「……俺は……パックを失いたく無い……」
「——!?」
「もし、選択を迫られたら……生き残る方を選べ……」
「……頼んだぞ」
パックは声を震わせた。
「僕もアーラを失いたく無い」
「アーラも無理しないで」
アーラは目を細め、鼻を鳴らした。
「……当然だ、生き残ってやるとも」
「死んでたまるか」
「お互いに落ち合う場所は救護テントでいいな?」
「——うん」
「エルザも待ってるしね」
「そうだな」
ピットが口を挟んだ。
「……僕はココって人を探す手伝いをすれば良いんだよね?」
「いざとなったら噛みついて良い?」
「……」
アーラは少し黙った。
「……多分だが……噛みつきは効かん……」
「……あ、そう……」
「……」
ピットは少し口篭った。
「……それと……」
「……僕はココって人に嫌われてると思うんだけど……大丈夫かな……」
上目遣いでパックを見た。
パックの笑顔が引きつった。
「……あれは、嫌いなんじゃなくて……怖がってるんだと思うよ……」
「——そうなの?」
「この世界に、蛇っていうピットによく似た生き物がいて、その蛇が苦手なんだってさ……」
パックは肩をすくめた。
アーラが鼻を鳴らした。
「……あのココが、ビビってる姿を見せるのはなかなか無いからな、見ていて面白かったぞ」
「……ハハ」
パックは力無く笑った。
アーラの声が低くなった。
「——見えてきたぞ」
パックとピットは前方を見た。




