第130話|ココ編【……これで終わりだ】
——ウィリアム邸
……はぁ、はぁ、はぁ……
ウィリアムは机の上に新聞を広げ、頭を抱えていた。
「……やりすぎだ……あいつら……やりすぎだ……」
「……まさか……ここまでやるなんて……」
立ち上がり、爪を噛んだ。
そのまま、部屋の中をうろついた。
「……とんでもない奴らと関わってしまった……」
「……」
(……告発するか……)
(……いや、私も巻き添えになる可能性が……)
ウィリアムの動きが止まった。
(……「——何でも良い、何とかしてくれ」……)
ウィリアムの顔から血の気が引いていった。
(……このままでは、私が暗殺を依頼したことになってしまう……)
(……奴等と、手を切らねば……)
(……だが、どうする……)
(……金……か……)
ウィリアムは爪の先を噛み切った。
「……忌々しい……」
新聞記事を睨みつけた。
ウィリアムは会計係を呼んだ。
…………
ウィリアムは窓の外を見ながら言った。
「保留にしていた孤児院への寄付だが、早々に進めてくれ」
「かしこまりました」
会計係は軽く頭を下げた。
「……それと、帳簿の帳尻合わせ……上手くやるように……」
「……はい」
会計係は目を伏せた。
すると扉がノックされた。
ウィリアムは扉を見た。
「——何だ」
「……孤児院長がお見えです」
「……」
「通せ」
「……はい」
「……」
会計係は静かに部屋を出ていった。
——ウィリアム邸、廊下
「……」
会計係が帳簿を手に持ち廊下を歩いていると、前方から使用人に案内された孤児院長が歩いてきた。
会計係が軽く頭を下げた。
孤児院長はいつもの笑顔から、さらに口角を上げた。
「——!」
会計係は立ち止まった。
「……」
「たった今ウィリアム様の部屋で、新しく紅茶を淹れるように言われた」
「……お客様は私が案内するから、準備して欲しい」
「——はい」
使用人は、厨房へと向かった。
「……」
孤児院長が声をひそめた。
「……金の流れを不自然にしなさい」
「あの方に被ってもらうことになりました」
「……」
会計係は帳簿を持ち替えた。
「……はい」
…………
会計係と孤児院長はウィリアムの部屋の前で立ち止まった。
「……」
扉をノックした。
「——入れ」
扉を開け、孤児院長を中へ通した。
ウィリアムは窓の外を見ていた。
「……」
会計係はウィリアムから視線を外し、扉を閉めた。




