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第123話|ココ編【……鬱陶しいですね】

——教団本部


「——骨が見つからない?」

側近は動きを止めた。


「よく探したのか?」


報告に来た兵士は膝をついたまま目を伏せた。

「……はい」


「仕掛けた場所から消えていたと報告が……」


「ですが、大掛かりに探すとかえって不自然なので……」


「……」

側近は、サンデルの部屋の方を向いた。


「……それと」


「まだあるのか!」

側近は兵士の方へ向き直った。


「魔族が、村と関係ない森の中で暴れたようで……」


「……」

側近は静かに深く、ため息をついた。


「……お前が報告しなさい」


「……はい」

兵士の額に汗が滲んだ。


………………

…………

……


報告に来た兵士が、顔を青ざめながらサンデルの部屋から出てきた。


側近はその様子を見て、喉を鳴らした。


「……」


すると、呼び鈴が鳴らされた。


側近は、大きくため息をついた。

「……はい、ただ今参ります」


側近は兵士をもう一度見た。


「……」


もう一度、喉を鳴らした。


そして、扉をノックした。


「……入りなさい」

優しい声色だった。


側近は、ゆっくりと顔から血の気が引いていくのを感じた。


「失礼いたします」


目を伏せたまま入室した。


上目遣いにサンデルを見た。


葡萄酒を飲んでいた。


「……」

目を伏せたまま、足早に近づいた。


「……調べなさい」


「早急に」

声が強くなった。


側近は肩を跳ねさせた。


「——はい!」

声が裏返った。


側近が振り返り、扉へ向かうとまた声がかかった。


「——待ちなさい」


側近は急いで戻った。


「……」

そして、目を固く閉じた。


「……おそらくは、あの貴族ですね」


側近は顔を上げた。

「——侯爵、ですね」


サンデルは聖杯をくるりと回した。

「ずっと嗅ぎ回っている」


「あの男しか考えられませんね」


「……気付かぬふりをして、こちらからも調べなさい」


「はい」

側近は目を伏せた。


「失敗は許さない。良いね?」


側近は顔を上げた。

「ですが、相手は……侯……」


「……」

サンデルの瞳だけが側近を見ていた。


「——っ!?」

側近は背筋を震わせた。


「はい」


サンデルは指輪に視線を移した。

「……それから、あの者に遣いを出せ……」


「……はい」


……数日後


——証拠品保管庫


一人の清掃作業員が、保管庫を管理する執務室を掃除していた。


すると、応援を知らせる笛が鳴った。


捜査員たちは慌てて応援へと向かった。


清掃作業員は動きを止めた。


証拠品リストが、捜査員の机の上に出しっぱなしになっていた。


清掃作業員は左右を見た。


そして喉を動かした後、証拠品リストを覗き込んだ。


「……」


清掃作業員はリストを新しいものから順に書き写し、そのまま掃除を続けた。


やがて、捜査員たちが戻ってきた。


「……ったく人騒がせな……侵入者じゃなくて酔っ払いかよ……」


「……こんな時間から酒なんか飲んで暴れてんじゃねぇよ……ったく……」


「——お?……いかんいかん」

捜査員は慌ててリストを引き出しに入れ、鍵をかけた。

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