第122話|ココ編【私を全力で甘やかしてくる貴族様が、めちゃくちゃカッコいいんだけど!】
——デズモンド執務室
扉がノックされた。
「どうぞ」
「失礼します」
魔族の骨の捜査責任者が入ってきた。
丁寧に扉を閉めた。
通常の報告の位置よりも近づいた。
「……」
捜査責任者の声が低くなった。
「証拠の骨を押さえました」
「——!?」
「そうか」
デズモンドは立ち上がり、窓まで歩き、静かに息をついた。
そして、手を握りしめた。
「……とうとう……奴を……」
「して、詳細は?」
「……はい、証拠を押さえた本人たちは重傷で、救護院に」
「——!?……そうか」
「ではこちらから行こう」
「……はい」
「……それと、直接話したいことがあるとの事です」
「……ふむ」
デズモンドは口髭を指でなぞった。
——救護院
捜査員たちの個室前にいた警護の者が黙ったまま敬礼した。
デズモンドは頷いた。
捜査責任者は個室の扉を開け、デズモンドを中に通した。
「——!?」
デズモンドは、全身に包帯を巻いた捜査員二人を見て、動きを止めた。
「……ありがとう、君たちのおかげで多くの人命が救われるかもしれん」
「——っ!」
捜査員二人は下唇を噛み、下瞼を上げた。
そして目を固く閉じると、雫が頬を伝った。
デズモンドは捜査責任者を見た。
捜査責任者は扉の前にいる警護を遠ざけた。
「……」
捜査責任者は口を開いた。
「教団への忠誠が高い兵士や関係者をリストアップして、監視していました」
「その者が、変装して不審な動きを見せたので、交代で尾行した結果です」
「その人物が村に例の骨を仕掛けたのを捜査員数名が現認しました」
「……それと、現場で気になる事があったそうです」
捜査責任者は、ベッドに横になる捜査員たちを見た。
捜査員二人は顔を見合わせて頷いた。
「……骨を回収した後、魔族を村から遠ざけるために森の中に入りました」
「そこで、骨を追ってきた魔族と会敵しました」
捜査員の喉が動いた。
「……」
「……そこで、不思議な少年に出会いました」
「——!?」
デズモンドの指が動いた。
「……不思議、とは、どういうことだ……」
「……」
捜査員二人はまた顔を見合わせた。
「……その少年は魔族と対峙し……風や、蜂の群れのようなものを操って戦っていたように見えました」
「——っ」
デズモンドの眉間に皺がよった。
「……何者だ」
捜査員は目を伏せた。
「……その後、ココ様が到着して、その少年は味方……とだけ」
「……!」
デズモンドの張っていた肩が静かに落ちた。
「……そうか」
「……他には?」
捜査員はシーツを握りしめた。
「……我々も必死でしたので……それ以上は……」
「申し訳ございません」
捜査員は顔を上げた。
「——ですがこれだけは言えます」
「……その少年は、負傷しながらも、我々を守ろうとしていました」
「——!?」
デズモンドは窓の外を見た。
相談に来た時のココの様子を思い出した。
(……ココ嬢……その少年を守りたいのだな……)
「……分かった」
「その少年については、最上位の機密情報として扱う」
「……決して他言しないように……」
デズモンドの声が低くなった。
その場にいた捜査員たち三人は喉を大きく鳴らした。
「——はい」




