第117話|ココ編【……あの少年はいったい……】
ココは木陰にうずくまる捜査員を見てから、もう一人の捜査員へと駆け寄った。
「大丈夫?」
「——!?」
捜査員は顔を上げた。
「——ココ様!?……っ……ゲホッ、ゲホッ……」
体を起こそうとして、全身が跳ねた。
「痛っ……」
ココは捜査員の肩に優しく触れた。
「……無理しないで」
ココは捜査員の胸のバッジを見た。
「……」
そして、静かに息をついた。
捜査員は頭をゆっくりと地面に預けた。
「……少年と……魔族は?」
ココは笑顔で頷いた。
「……無事よ」
「魔族も……あなた達の頑張りのおかげで……もう暴れる心配は無さそうだわ」
「……」
ココは言葉に詰まった。
すると、捜査員が口を開いた。
「……あの少年は……勇者関係者ですか?」
「——!?」
ココの指が跳ねた。
「……」
「……不思議な……力を使っていたように見えて……」
「……違ったなら……聞き流してください……」
「……」
ココはゆっくりと息をついた。
「……勇者では無いわ……でも……私の味方よ……」
「……そうですか……」
「……」
「……上から指示を受けておりまして……捜査で得た情報は外部に漏らすな……と」
「……ご安心ください」
捜査員は痛みで顔を引きつらせながら笑顔を作った。
「デズモンド様は……現場では、ココ様に協力するように……とも、おっしゃっていました」
「……」
ココの肩から力が抜けた。
「……そう、ありがとう……」
そう言ってココは微笑んだ。
捜査員は辺りを見まわし、相棒を探した。
「もう一人の捜査員なら、無事よ?向こうの木陰で倒れているわ」
ココはもう一人の捜査員の方を向いた。
「……でも、怪我で動けなさそうだったけど……」
「何か手伝う事はある?」
「……相棒に話があります。……肩を貸していただけますか?」
「分かったわ」
ココは捜査員の腕を肩に回した。
「——おっととと……痛っ」
ココは、大人の男性を支えるには少しばかり小柄だった。
「……ごめんなさい」
ココは上目遣いで謝った。
「……すみません……助かります」
捜査員の笑顔が引きつった。
二人は、もう一人の捜査員の場所までよろけながら向かった。
「——無事だったか」
「ああ」
捜査員二人はココを横目で見て黙った。
「……」
「……」
ココは捜査員二人を交互に見た。
「私はあの少年と話してくるわ」
そう言ってその場から離れた。
捜査員二人は、ココの背中を見送り、互いに目を合わせ、声を低くした。
「……骨の回収はどうする?」
「……あの様子だと、まだ魔族に息があるようだ」
「息絶えてからの回収がいいだろう」
「……そうだな」
「……それと、あの少年だが……見たか?」
「……ああ」
「……不思議な力を使っているように見えた」
「だが、ココ様の味方だと言っていた」
「——そうか」
「……」
「……デズモンド様に直接報告した方が良さそうだな」
「……ああ」
捜査員二人は少年の方を向いた。
「……俺たち、大の大人二人が、少年に助けられちまったな」
「……だな」
捜査員は小さく息をついた。




