第116話|ココ編【……話せるってことは、君は……】
——アーラの救護所
「……」
アーラは反響音を捉えた。
(……小僧のやつは、何をグズグズしているんだ……)
(壊れた同胞に情けはいらんというのに……)
(……いや、無理もないか……)
(……だが、小娘が来たようだな……)
(壊れていない同胞の存在と、小娘の音がおかしいのが気になる……)
——猪型魔族のいる森
蛇型魔族は猪型魔族の方を向いた。
「……あいつの事、助けたいの?」
「僕、余計なことしたかな?」
蛇型魔族は俯いた。
「——!」
パックは前に出した手が途中で止まった。
「……ち……違うんだ……そうじゃない……」
「……声が、聞こえてしまったんだ……」
パックはココを横目で見た。
「——!」
ココの様子がおかしかったが、パックは蛇型魔族に向き直った。
蛇型魔族は顔を上げた。
「……あいつ、あの様子だと、もう助からないかも……」
「——僕の“冥界の毒牙”を喰らって、ああなってから助かった奴はいない」
「——っ!?……冥界……?」
パックは動きを止めた。
「……冥界……」
パックはハッと我に返った。
「……助からない……」
「……」
すると、パックは背後から袖を引かれた。
パックが振り返ると、顔から血の気が引いて、さらに腰が引けたココがパックの袖を摘んでいた。
「……ど……どうしたの?ココ……」
「——早く来て!こっち!」
「う、うん」
ココは眉間に皺を寄せた。
「……まさか……“新しい仲間”なんて言わないわよね?」
「まだ仲間じゃないよ」
「……まだ……?」
パックは倒れている猪型魔族を見た。
「……もう、助からない……」
「……」
「……ごめんね」
蛇型魔族は目を伏せた。
パックは蛇型魔族の方を向いた。
「……ううん……謝らないで……君は悪くない……」
「……助けてくれてありがとう……」
「……」
蛇型魔族は顔を上げた。
そして、猪型魔族を見た。
「……アイツは狂ってる……これで良かったんだよ……」
「……」
パックは静かに目を伏せた。
ココがパックの袖を引いた。
「……とどめを……」
パックはココの方を向き、首を横に振った。
「……毒で、もう助からないって……」
「……」
ココは猪型魔族を見た。
「……そう……」
猪型魔族は先ほどのパックへの蹴りを最後に、急速に衰弱していた。
ココは捜査員二人を見た。
「……」
「……ちょっと、二人を見てくるわ」
「……」
パックは俯いたまま、拳を握りしめていた。




