第115話|ココ編【それだけは……無理】
「——何ですって!?」
「……」
ココは念の為、鞄からオーブを取り出した。
パックが猪型魔族に話しかけた。
「……僕の声は聞こえる?」
「……」
ハッ、ハッ、ハッ、ハッ……
猪型魔族は無反応だった。
「——助けたいの?」
パックは拳を握りしめた。
「……」
それでも猪型魔族は何も答えなかった。
「……ダメなのか……」
パックは俯いた。
その瞬間、猪型魔族が前足でパックを蹴り飛ばした。
「——っ!?」
ズサァァァ……
パックが地面に転がった。
「——!?」
ココが駆け寄り、パックの前に立ち塞がり、オーブを構えた。
「——待って……大丈夫……弱ってるから、大したことない」
「見ていられない……私がやるわ」
パックはゆっくりと立ち上がり、ココの手を握った。
「——!?」
「……僕は意気地無しだ……」
「……」
ココはパックの手を握り返した。
「……そんなことないわ……」
胸が締め付けられ、言葉を飲み込んだ。
「……あの不思議な魔法は、どうしたら……」
「私にも分からないわ」
「あなた、精霊と話せるのよね?」
パックはうつむいた。
「……あの魔法のことは、何も教えてくれないんだ……」
「……そう」
パックは猪型魔族の腫れた足を見た。
「薬草も、多分効き目が無い……」
「——そういえば、誰が毒を?」
ココはパックの肩を掴んだ。
「そうだった」
パックは声が聞こえた茂みを見た。
「……声が、聞こえたんだ」
「……え、それって……」
ココはパックの肩から静かに手を離した。
「……魔族だよ」
「多分、壊れていない」
「——!?」
その時、がさりと茂みが動いた。
「……ひょっとして、僕の話してる?」
パックはかがんだ。
「……うん、君は味方なの?」
「味方……かどうかは分からないけど……」
「じゃあどうして?」
「だって……困ってたから……」
「……」
パックは肩から力が抜けた。
「出てこれる?」
「……出ても良いの?」
「驚かない?」
「うん」
謎の魔族はがさりと茂みから顔だけを出した。
「——っ!?」
ココは白目になり静かに固まった。
「……やっぱり、蛇」
パックはつぶやいた。
「……蛇……無理」
ココは白目のままつぶやいた。




