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第110話|ココ編【間に合えっ!】

——アーラの救護所


アーラが頭を上げた。

「……小僧が、遅い……」


エルザはパックが向かった先を見た。

「……そういえば、そうですね」


「……」

アーラはパックが向かった先に集中して音を飛ばした。


「——っ!?」


「……何をしている、小僧!」


「……ちぃっ、俺が動けん時に……くそっ」


エルザがアーラの方を向いた。

「……見つかりましたか?」


「……ああ……最悪だ……壊れた同胞へと向かっている……」


エルザの肩が跳ねた。

「——!?」


「……でも、パックさんお強いですし……」


「!?」

アーラはエルザを見た。

「……そうか……お前たちは知らないのか……」


「……小僧は戦えん」


「——っ!?」


「——ですが、あんなにすごい魔法を……」


アーラの目が細まる。

「……あの魔法は、小娘がいないと使えん……」


「……なん……ですって……」


戻って来ていた働き蜂は言葉を失った。

(……やべえ)


「……」


「……すまん……俺が……パックに知らせたんだ……」


「——!?」

アーラは働き蜂たちを見た。


「……くっ……こんな時に……俺は……」

アーラは起きあがろうとするが、体に力が入らなかった。


「くそっ」

アーラはどさりと地面に首を落とした。


「……」

働き蜂たちは震えた。


「——女王様!出撃の許可をっ!」


「——!?」

エルザは目を伏せた。


「……ですが……あなたたちは……」


「針は使いませんっ!許可をっ!」


「——!?」


エルザは両手を握り、震えた。


「……ですが……」


アーラが割って入った。

「……事情は知らんが、俺からも……頼む」


「……」

エルザはパックの向かった方角を見てから、目を伏せた。


「……許可……します……」


エルザが言い終わる前に、ザァァ……と音を立てて蜂たちが飛んでいった。


「……」

エルザは両手を握り締め、蜂たちを見送った。


——一方その頃


猪型魔族の大地を掻く蹄が止まった。


次の瞬間。


巨体が沈む。


——ドッ!!


「——っ!?」


証拠の骨を持っている方の捜査員目がけて突進して来た。


「うわあっ!」

かろうじて横に飛んで避けた。


受け身を取り、起き上がる。


「——くっ……なんだこの速さは……」


「冗談じゃない」


「一旦骨は手放す。後で回収する」


もう一人の捜査員は何度も頷いた。


捜査員は骨を茂みに投げた。


すると、猪型魔族が骨を目で追った。


「……よし」


猪型魔族の鼻息が荒くなった。


ブフーッ、ブフーッ。


そして、捜査員を見た。


蹄が地面を掻いた。


「——何故だ!骨は向こうだぞ!」

捜査員は剣で骨の方を指した。


もう一人の捜査員が剣を前に出し膝を震わせた。

「……聞いてない……こんなの聞いてない……」


「……い……一旦、体勢を立て直しますっ!」

もう一人の捜査員が、猪型魔族に背を向けて走り出した。


すると、猪型魔族が動くものに視線を釣られた。


巨体が沈んだ。


——ドッ!!


もう一人の捜査員は木の根に躓き転んだ。


「うわぁっ!」


猪型魔族に向き直る。


後ろに手をつき後ずさった。


猪型魔族の鋭い牙が迫る。


「——ひぃぃぃぃっ!」

顔の前を腕で防御した。


その時、突風が砂埃を舞い上げた。


猪型魔族の目に、砂が入り、怯んだ。


ブヒィィィィッ!?


——ザッ


パックが転んだ捜査員を背中で守った。


「……風さん、ありがとう」


パックはココのナイフを逆手に構えた。

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