第109話|ココ編【……僕に……出来るのか?……】
——森の中
召喚術士隊長が手を震わせた。
「……さあ、今度はどんな姿を見せてくれる……」
「……」
召喚術士は静かに見守った。
「……」
「……猪……だと?」
召喚術士隊長は爪を噛んだ。
「……ちっ……つまらん……次の準備だ……」
「……まあ、あれでも少しは暴れてくれるだろうさ……」
そう言って肩をすくめた。
——村の外れ
教団兵士は腰に着けた鞄を開いた。
「……そろそろ時間だ……巻き込まれる前に設置して離脱するぞ」
「……ですね」
もう一人の教団兵士が喉を鳴らした。
二人の兵士は村の茂みに“魔族の骨”を投げ入れ、逃げていった。
「……」
捜査員二人は、建物の陰で顔を見合わせ、頷いた。
「……現認した。早くしないと魔族が来る、骨を移動させるぞ」
「……マジかよ……本当に教団が……」
捜査員の手が震えた。
捜査員二人は骨を回収し、人けのない森へ向かった。
「……だいぶ移動したな……」
捜査員は額の汗を拭った。
「ここまで来れば村に被害は出ないだろう……」
「……ああ……とりあえず、この骨どうするか……」
ドドドド……
「——っ!?」
捜査員は咄嗟に剣を抜いた。
「——まずい!もう来たか!」
捜査員二人は音のする方へ向いた。
「証拠の骨は……どうする?」
「……くっ」
「……我々は、魔族との戦闘経験が無い……」
「……だが、証拠は持ち帰らねば……」
——森の中
パックは水を汲みに川まで来ていた。
「……ふう……」
パックは額の汗を拭った。
「……もう少し近いと助かるんだけどな……」
「——人間!」
働き蜂が血相を変えて飛んできた。
「どうしたの?」
「——この先の森で、魔族が人間をっ!」
「——っ!?」
パックはココのナイフの柄に手を添えた。
働き蜂がパックに向かって言った。
「——この前の魔法で、やっちまえよ!」
「あれなら勝てるだろ」
「——っ」
パックはココのナイフを握ったまま奥歯を噛み締めた。
「——わかった」
「行ってくる」
「……アーラは怪我してる。言わないで!」
「——おう!頼んだぞ、人間!」
パックが走り出した。
その時、“お節介な風”が慌てた。
それでもパックは止まらなかった。
「……うん、分かってる……でも……行かなきゃ……」
——一方その頃
「はぁ、はぁ、はぁ……くっ……」
捜査員の剣と膝が震えた。
「……思ったよりも、でかいな……」
「無理です……無理ですよっ……こんなのっ!」
もう一人の捜査員は魔族を目の当たりにして、剣だけを前に出し、剣先を震わせた。
ブフーッ、ブフーッ……
熊ほどの大きさの猪型魔族は、荒い鼻息で垂れる唾液を飛ばしながら、蹄で地面を掻いた。
体毛はごわつき、大きな鋭い牙が前方に伸びていた。




