第102話|ココ編【私を全力で甘やかしてくる貴族様に、無理を言ったら簡単に通っちゃった】
———王都
ココは、骨を元の茂みに戻し、屋敷に帰ってきた。
そして、すぐに湯浴みをした。
湯に浸かりながら、別れ際のパックの言葉を思い出す。
「……骨は元に戻した方が良い……君が疑われる……」
口まで湯に浸かり、あぶくを立てる。
「……君を失いたくないんだ……」
バシャッと顔に湯をかけた。
「……何回言うのよ……あの台詞……」
揺れる水面を見つめる。
村にあった“魔族の骨”。
アーラの推測。
教団が“魔族の骨”を回収している事実。
それらが線で繋がってゆく。
「……トール様……私……どうしたら……」
「……」
湯から立ち上がる。
「……そうだわ」
「……デズモンドがいるじゃない」
ココは湯浴みを終えると、すぐに執事長に相談した。
「できるだけ早く、デズモンドのところに行きたいの。予定を押さえられる?」
「……」
執事長が一瞬黙る。
「……ココ様が行かなくても、勝手に来るのでは?」
「……」
それを聞いてココも黙った。
「……たしかに……」
「……でも、急ぎなの。なんとかならないかしら……」
それを聞いて執事長の目が細まる。
「……なんとかなるでしょう……多分……」
———翌日
デズモンド邸にココの使いの者が来た。
秘書はデズモンドにココの要件を報告した。
すると、デズモンドが即答する。
「……よし、午後の予定は、全てキャンセルだ」
秘書も即答する。
「ダメです侯爵……」
「……全く……勇者絡みだと、すぐこれだから……」
秘書が手帳を開く。
「……明後日の午後でしたら……調整可能かと……」
デズモンドが顎に手を添える。
「……ふむ、そうか。明後日か……」
「……やはり、秘書は君でないとな、ハハハ……」
秘書は眼鏡をかけ直す。
「……侯爵の信用を守るのが、役目ですから……」
———ココ邸
デズモンド邸に向かった使いが戻ってきた。
ココが伝文を開く。
「……明後日だって」
ココが口に手を添え、執事長を見た。
「……なんとかなっちゃった」
執事長は目を細め、肩をすくめた。
「……でしょう?」
ココは窓の外を見た。
「……明後日か……」
執事長に向き直る。
「明日は、今回の魔族に襲われた村に行ってくるわ」
「救護用品を準備して欲しいの」
執事長が軽く頭を下げる。
「……かしこまりました」
「馬車を用意致しましょうか?」
「……」
確かに、荷物が多い。
ココ一人で馬車を出すのは、少し無理があった。
「……そうね」
ココはまた窓の外を見た。
(……そうだ、あの人に手伝ってもらおうかな……)




