第101話|ココ編【……安らかに、眠れ】
パックたちとはひとまず別れ、ココはひとり、村に向かって馬を走らせていた。
“魔族の骨”が村の中で見つかれば、アーラの仮説が裏付けられる。
そして、教団が“魔族の骨”を回収している事実。
それらの事実が、ココの胸に焦りを生んだ。
馬の腹を両足で挟み、速度を上げた。
やがて、村が見えてきた。
村に到着すると、あたりは静まり返っていた。
ココの背筋に嫌な感覚が走る。
建物の角を曲がると、村人が倒れていた。
馬から降りて、首筋に触れた。
脈はなかった。
広場に目を向けると、逃げ遅れた村人たちが倒れていた。
ココはそのまま胸に手を当てて祈りを捧げた。
そして、“魔族の骨”の探索を始めた。
路地裏や茂みなど、しらみ潰しに探したが、一人で探すには村は広かった。
それでもココは諦めなかった。
ココの脳裏には、傷ついたアーラの姿が焼き付いていた。
茂みの奥まで入り込み、家屋の隙間もくまなく探した。
服は泥だらけになり、美しい翠色の髪は蜘蛛の巣にまみれた。
それでも魔族の骨は出てこない。
ココは絡みつく蜘蛛の巣を払いのけた。
すると、奇妙な足跡が目についた。
近づいて膝を下ろした。
おそらくは、飛行型魔族のものなのだろう。
その場所だけ何度も行き来したような足跡だった。
その足跡の奥には薄暗い茂みがあった。
その茂みからは、何か嫌な気配がした。
意を決して茂みに入った。
手探りで探していると、指先に固いものが当たった。
拾い上げると、それは何かの骨だった。
ココは全身の毛が逆立つような感覚に襲われた。
「……これは……まさか……」
日は落ち、辺りは薄暗くなっていた。
だが、ココはすぐさまアーラの所に戻ることにした。
———森の奥
横たわるアーラが不意に頭を上げた。
「……小娘が、戻ってくる……」
「……それと……」
「……この気配は……まさか……」
次第に馬の蹄の音が大きくなった。
馬が止まり、一度いなないた後、ココは飛び降りた。
そしてアーラの元に走った。
アーラはココの手に握られたものを見て、目を見開いた。
「……それは……まさか……襲われた村にあったのか?……」
ココが息を切らしながら骨を見た。
「……探すのに……時間がかかってしまったわ……でも、その反応……当たりだったみたいね……」
「……」
アーラはその骨から出る気配を感じ取り、飛行型魔族が助けようとしていたことを思い出した。
そのまま目をつむり、友を悼んだ。




