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Boneborn~魔素を喰らい、世界を知る~  作者: 和冬陣


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02話 人間に戻れるんだが


もはや藁にも縋るような心持ちだった。

頭の中に突如現れた選択肢がどんな意図を持っているかは知る由もなく、一心に選択する。


➡【YES】


すると、魔鉱石は瞬く間に骨の中に吸収されていくのが伝わった。同時に魔鉱石の輝きは色を失う。

(これは魔鉱石の中の魔素のみが吸収されているのか?)

恐怖心は消えないが、先ほどとは打って変わって体中に力がみなぎるような感覚を覚える。

全てを吸収し終えた後、別の選択肢が現れた。


《魔鉱石から大幅な魔素を吸収》

《骨強化 or 筋肉生成》


え、なに、選べってこと?骨強化してどうするんだよ。筋肉生成?

……なんかもう逆に腹立ってきたな、訳わかんなすぎて。いや、こんな時こそ冷静に、だ。起きてしまっていることをとやかく言うのはナンセンス。現状の選択肢はすでに出ている。

俺は今、骨!魔物!いや待て、なんで?俺魔物になったことないんだけど。……今そこはどうでもいい!

次いで、この選択肢。骨強化するとどうなるんだ?そもそも骨って強化できるものなのか?人間だと鍛えると重いものが持てる、とかだと思うけど骨は何?骨密度上がる???

ふぅ……冷静に。考えうる限りで骨強化するメリットが思い浮かばないな。

筋肉生成って……元に戻れるってこと?

この骨の上に肉と皮膚が戻るってことだよな?

戻れる兆しが見えた以上、選択肢はこっち!こうして俺は半ば勢いのまま決定を下した。



《筋肉生成実行》



すると、骨の周囲に光が集約され見慣れた体が出来上がる。

先ほどまでの現実が嘘だったかのように、ここに到着した時と同じ様相の自分が存在していた。

「あ、あ、……おぉ、喋れる!戻った、戻ったぞ!!」

悪い夢でも見ていたかのように、霧が晴れた気分だ。魔鉱石は光を失い、価値のない石に変貌している。子爵には何もなかったと報告すればいいだろう。

それにしても何だったのだろう。いや、疲れていたんだ。腹減ったし。今日は美味しいものでも食べて帰ろう。と思った瞬間、頭の中の表示が浮かび上がる。



《肉体保持可能時間:921日19時間》

《魔素不足時、肉体は維持出来ません》



これは……吸収した魔素の量によって制限時間を設けられているってことか?いや、完全に戻れた訳じゃないのかよ!

落ち着け。状況を整理して今できることを確認しよう。

肉体の生成保持期間が有限であるということは、制限時間を過ぎたら骨に戻るということ。これを回避するためには生成するに必要な魔素を貯蓄する必要がある。

さっき咄嗟に吸収した魔鉱石に含まれていた魔素、等身大の魔鉱石だからなのか大量の魔素を含んでいたことに違いはない。しかし制限時間はたった2年と半年ほど。俺の寿命が尽きるまでにあれと同等が大きく見積もっても30個は必要になる。

当面の課題は魔素の吸収、その貯蓄。そして骨化した姿を誰にも見られないこと。魔物として討伐される、ならまだかわいいほうでこんな珍事は各国の研究対象にされかねない。そんなんで人生棒に振るのは絶対嫌だ!


そもそも現段階で骨に戻ることは可能なのか?できる限り魔素節約したいのだが。


《筋肉生成を一時中断しますか?》

【YES】【NO】


俺の脳内と一致しているのかすぐに選択肢が出てきた。これ本当にどうなってんの。質問とかできるのか?………一応やってみるか?

「あんた質問とかできるの?」

《質問内容を入力してください》

「あ、入力式なんだ…。」

まぁ、今一番聞きたい質問なんてこれしかない。


「俺は元に戻れるのか?」

《質問内容に誤りがあります》

答えてくれないじゃん。なんだこいつ。

「どうして俺は骨になった?」

《質問内容に誤りがあります》

…………どういう質問なら答えてくれんの?応答は出来るけど、うーーーん。

「肉体維持に必要な条件は?」

《魔素供給》

おぉ!!初回答!自分が多少理解していることなら回答があるのか。…いや、それ意味あるか?

「筋肉生成の一時中断で魔素の使用量が減ったりすることはある?」

《魔素消費量に変動なし》

マジか!?人間時と骨化時は自在に行き来することが可能なのか。有難い、こういう時はたいていあとから条件が出てくるからな。となれば、まだ慣れないけど今は節約のためにも

「筋肉生成を一時中断」

《筋肉生成を一時停止します》


元の、いや骨の姿に戻る。魔素節約とはいえ、骨の姿は精神的に慣れないな。

まずは辺りを散策してみるか。吸収スキルで魔素を確保できるかもしれない。


―————いや、魔素ってどうやって見分けるのよ。

大気中や生物、鉱物———おそらくどんなものにも魔素は微量に存在している。街と比べると鉱脈付近は魔素の濃度が高いって聞いたことあるし。まずは試しにその辺の草や鉱物を吸収してみるか。


対象物:草

《吸収しますか?》

【YES】


……おぉ、吸収できた。こんなそこらへんに生えてる草にも魔素はあるんだな。

鉱物も…おー、できた。意外といけるもんだな。こうちまちまやっていくのも面倒だが仕方ない。範囲指定とかできないのか?


―————一時間後。


同じ作業をやっていくのは苦じゃないタイプだけど、さすがに飽きてくる。骨だから表情ないけど、俺今絶対顔がこわばってる。

しかしどれくらい魔素を蓄えたんだろう?一応、聞いてみるか。

(この一時間で吸収した魔素量での肉体保持時間を教えて)

《約一時間》

………一時間やって一時間かい!思ってたより割に合わない。

あの魔鉱石くらいじゃないと一気に増えないのか。そりゃ魔鉱石は魔素の塊みたいなもんだし…そうか!

自分で魔鉱石を取引していければいいのか!今の社会、魔鉱石を扱わない商売のほうが少ない。

流通に回す分、余剰を吸収に回す分。その辺り計算しなきゃな。

よし、さっそく戻って次の商談の準備だ!骨のまま野垂死ぬのはごめんだからな。

(筋肉生成開始!)

《筋肉生成実行》


人化した俺は街へ向かう。

さっそく市場を見て回りたいが、あいつのことだ。手ごろなものは見つけてくるだろう。



【和冬のどうでもいい魔素知識】

主人公は一時間草を吸い続けました。

骨になっても地道さは変わりません。

コツコツ頑張る商人です。

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