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Boneborn~魔素を喰らい、世界を知る~  作者: 和冬陣


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11話 話が通じない


全員が固まる。

さっき、誰にも見せてない、と言った瞬間にこれだ。

カヤマに姿を見せて受け入れてもらった安堵から気が抜けていたのかもしれない。

そもそもルビィ、人様の敷居をまたぐときはノックしなさい!


「え、せんぱいなんで骨になってるんすか?」

…………ん?

「……ルビィ、お前さん、こいつが何なのかわかるのか?」

「わかるっす!その骨の人はせんぱいっす!」

……え、なんでわかるの?

「なぜわかる?初めて見たのだろう?」

「骨の姿になってもせんぱいはせんぱいっす!間違えるわけないっす!」

えぇーー……どういうこと、わけわかんない。なんなのこの子。

「……どうやって見分けがついているんだ?」

「骨の形状がせんぱいっすよ?せんぱいの骨の形っす!だからせんぱいっす!空気もせんぱいって感じがするっす!」

どゆこと??

「なるほど」

なるほど??

「高魔素を持つ存在は、魔素に個体の癖が出る。匂い、色、圧、思念———。それをお前さんは感覚で掴んでいるのか」

そんなことあるの??

「伊達に一緒に過ごしてきてないっすよ!」

おいおい、何を急に、照れるじゃねぇか。

「お前も元に戻れ。そろそろ喋ってくれないと場が持たん」

あ、いっけね。


よし、そろそろ戻るか。そう思った、その時だった。

「はじめまして!カヤマ様!私ミンティア商会会長のミント……」


また場が凍り付く。

なんでお前まで来てるんだ!

「一体、どちらさまですの!??」

もうっ!うるさーーーーーーーーい!!!



―——————————



ミントが持ってきてくれた差し入れをみんなで食べる。

紙袋の中身は、アダマンチュールのサンドイッチ。街じゃ知らないやつがいない人気店だ。

俺はソースかつサンドを手に取った。ここは「焼き立てを一番に!」がスローガンなのでかぶりついた瞬間、甘めのソースがジュワッと広がる。肉汁が追いかけるように出てきて、しんなりしたキャベツが全部まとめてくれる。久々に食ったけどうんめぇな、こいつは。


食べながら、俺のここまでの経緯を話した。

「あなた馬鹿ですの?」

む、なんだと?

ミントは手にNO.1人気の塩キャラメルロールを手に取って言う。

それいつも売り切れてるやつじゃねぇか!ズルい!

「そんな面白そうなことを私に話さないのが馬鹿だと言いましてよ?わかりませんの?」

いや、全然わからない。

「どんなことでも一緒に背負ってあげますわよ。なんといっても、私たちは永遠の宿敵であり心友なのですから!」

おぉ、なんか響くな。なんだかんだこいつは良い奴なんだよな。

「まずは骨状態で博覧会をしますわよ!ガッポガッポ儲けて差し上げましょう!」

前言撤回。こいつはだめだ。倫理がない。


「それは難しいな」

と、カヤマ。食べているのはビッグローストチキンハンバーガー。

あれ高いんだよなぁ。マジうまそう、くそぉ、じゃんけん……!

「この現象は世界でも過去に類を見ない大事件だ。おいそれと公表することは差し控えるべきだ」

反論ありがとう、カヤマ大先生!

「まずはこいつ自身の、骨化の検証をじっくりと進めるべきだ」

そう、そうだよ!さすが生ける伝説カヤマ・キチノスケ!

「なので少しの間、こいつを解剖させてもらう」

……っと、流れ変わったな。え、やだ、解体される?


「だめっす!!」

大きな声を上げるルビィ。どうやらたまごサンドを食べていたらしい。

結局最後に戻ってくるのはそこだよね。定番って、いいよね。

「解剖なんていけないっす!せんぱいは骨だけど、人間なんすから!」

「……そうだな、倫理として人をいじくっちゃいけねぇな。すまねぇ」

あのルビィがまともなこと言ってる。大人になって……!

「解剖じゃなくて解体が正しいっすよ!骨なんすから!」

ずこーーーーーーーー!

そうじゃない、いやそうだけど、そうじゃないんだルビィ。


「……こほん」

場を整えよう。こいつら、まともに話ってできないのか?

「俺の骨化は自力で検証していく。新しい能力が見つかったらお前らに共有するよ。俺だけじゃ解析できない部分があるだろうし、魔素関連はカヤマに聞くのが一番だ」

「うむ」

「体内に魔素を取り込む点に関しては、ある程度目途が立つ。圧縮と吸収を行って、持続時間を検証する。それでも困ったら、お前らを頼る」

「理解しましたわ」

「そしてこの件はくれぐれも内密に、だ。どうなっていくか俺にもわからん」

「了解っす!」

「だからこそ目の前のことに注力しよう。お前ら、リアンナの件どうなってる?」

「「あ…………」」

おいおい、不安になる一言を言うんじゃない。カヤマも忘れてました、みたいな顔するな。


「えっとぉ、実は母体はすでに確保できたっす」

「おぉ、やったじゃないか!」

「でも、提供先がシルベルトカンパニーなんすよね……」

「!?」

「?なにか問題なのか?」

「いやぁ、そのぉ」

ルビィが言い淀むのも無理はない。シルベルトカンパニー通称シルカン。多くの環境保全を名目に様々な業態で物流、飲食、製造業と手広くやってる。

問題は社長だ。あの人に会うと……会うと……。

「ミントの姐さんがせんぱいを取引条件に挙げて、母体の確保をしてたっす」

おい!?なにやってんの!

「致し方ありませんの。この国で一番大きな工場をお持ちなのはシルカン。交渉に使わない手はありませんこと」

「だからって俺を引き渡すことないだろ!」

「それ以外に相手が飲む条件がなくてよ!あのとんでも企業に渡り合える手持ちの武器はあなたしかいませんの」

勝手がすぎる!

「モル、お前さん、向こうと揉めたのか?」

「いや……」

言えない、自分の口からは恥ずかしくて言えない。


「シル姐さんは、せんぱいの師匠なんすっ……!」

!?おい、それ以上はよせ!

俺が口をふさぐ前に、ルビィが言いきる。

思い出したくないんだ、せっかく……せっかく忘れかけていたのに!




「シル姐さんはせんぱいに恋してるっす!だからせんぱい会いたくないっす!」




やめてええええええ!!





【和冬のどうでもいいお店紹介】

アダマンチュールは中層で大人気のサンドイッチ専門店です。

「焼き立てを一番に!」がスローガン。

朝は行列ができるので、人気商品はだいたい売り切れています。

パン屋さんの香りってなんであんなに破壊力あるんですかね。

ちなみに、ルビィは毎回違うものを頼みます。

たくさん食べて大きくなりたいんです。

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