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勇者と魔王少女たち  作者: ぴよチキ
123/123

-123- 俺、サンプルを捕獲する

ナラヤ:あれは、普通じゃない!

「おいおい、嘘だろ?!」


ゴブリンがスライムに食べられているのを見て俺は思わず呟いた。

スライムの消化能力はそこまで強くないはず…というかあんなに強かったら俺が呑まれた時に助かっていないだろう。

ということは───


「上位種か?」


「わたしもそう思うけど、それだとおかしいのよ。」


「サラ、どうゆう事だ?」


「スライムの上位種は基本的に色が変わるのよ。例えば、紫や緑のようにね。」


「ということはあれは普通のスライムってことか?!」


「それか、未発見の上位種って可能性もありますね。」


「どちらにしろ、油断ならねぇってことだよな!」


リノ言葉を聞いてカナンが気合いを入れる。

未発見でもそうだが、普通のスライムが異常になっている点でも油断はならない。


「この場合はどうすればいいんだ?」


俺たちはあくまで調査に来ている。

だから、判断をこの依頼のリーダーであるマカラン姉妹に仰ぐ。


「そうね、このまま報告に戻りたいところだけど……サンプルも欲しいわ。」


「サンプルって…捕獲する気か?!」


ゴブリンの骨まで溶かしていた所を見るとかなり危険な気がするが……確かに捕まえられるのならばより多くの情報を得られるだろう。

そして、それを実行できる人は一人しかいない。


「マコ、すまないが頼めるか?」


「ワカッタ!」


そう言ってマコが地面の中に腕を突っ込む。

地中から一気に捕まえるつもりなのだろう。

そうしてしばらく時間が経ったが……


「サッチサレテ、ニゲラレル……」


どうやらスライムは俺たちの想像以上に手強いようだった。

マコの話では、腕をスライムの下まで動かすとすぐにその場から飛び退くのだとか。


「この間のような巨大な囲いは出来ないのか?」


「モウスコシ、チカヅカナイト……」


そうか、それは危険だな……

───仕方ないな。


「マコ、あの辺りに待機しておいて。」


「ナラヤさんどうする気ですか?」


「俺が囮になってスライムを引き寄せる。」


「おいおい、さっきの見てたろ?あれは普通のスライムと違うんだぞ?」


「まあ、危なくなったらこれを使うよ。」


俺は持ち物から1つのビンを取り出した。


「それは?」


「塩水さ、スライムはこれが苦手だからな。」


これは俺がスライムに呑まれた時にカヤさんからもらったもの、

ずっとお守り代わりに持っていたのだ。


「……分かった。だが、何度も言うがあのスライムは普通じゃないからな。」


「おう、それじゃあ行ってくるわ。」


ということで、草むらから飛び出す。


「おーい、スライム共!こっちに来い!」


俺は大声でスライムの気を引く───つもりだった。

スライムは全く俺に興味を持つ素振りを見せず、執拗にゴブリンを追っかけている。


あー、そう言えばスライムには耳とか鼻とかないから聞こえないのか。魔除け草の時も鼻がないから逃げないって言ってたよな。

うん?……それじゃあスライムは何を頼りにゴブリンを追っかけているんだ?


体温…だと魔除け草に引き寄せられるのはおかしいし……

水分…だと周りの草も対象になる……

あとは…空気とか魔力とかか?


とりあえず、空気は分からないので魔力の方を試す。

スライムが好みそうな水属性の魔力を手に集めて、わざと霧散させる。


すると───


おっ、1番後ろの1匹だけ反応した。これは好都合だ。

やっぱり魔力で周りを探知しているってことかな。

それじゃあこの調子で引き寄せていこうか。


俺は引き続き水属性の魔力を霧散させて、スライムを引き寄せる。

最初とは違って1匹だけを誘導するため、魔力は少なめだ。


ゴブリンには悪いが俺が誘導している間は他のスライムを引き付けてもらう。

最初は12,3匹いたはずの群れは既に4匹になっている。

それ以外は骨ごとスライムに溶かされたと考えればその異常性が分かるだろう。


心の中でゴブリンに謝りつつ、慎重にスライムを誘導する。

くっそ…魔力がゴリゴリ減っていく……

だが焦ってはダメだ、常に一定量を放出するんだ。


あと少し…あともう……今だ!


「マコ!」


「リョウカイデス!」


マコがスライムを捕獲する。成功だ!

俺とマコはハイタッチを交わす。

捕まえたスライムは特に暴れることなく留まっていた。


「そうだ、ゴブリンは?!」


「ゴブリン?それならまだあそこでスライムから逃げてるわよ。」


サラが指さした方を見ると未だに逃げてるゴブリンがいた。

しかし、残りは1匹。いずれあのゴブリンを喰われてしまうだろう。


「さあ、サンプルも手に入れたことだし、さっさと撤退するわよ。」


「待ってくれ、せめてあのゴブリンだけでも助けさせてくれ!」


今回、ゴブリンは完全に被害者だ。

せめて、あのゴブリンだけでも!


「無理よ。あのゴブリンを助けてスライムの意識がこっちに向いたら貴方だけじゃなくて、パーティ全員を危険にさらすのよ?

それでも、まだ助けに行きたいと言える?」


「それは……」


「それにゴブリンは普段、スライムを襲ってます。今回のような報復があっても仕方がないのでは?」


サラとリノの意見は尤もだ。


「……撤退しよう。」


俺はそう言うことしか出来なかった。


でも…それでもせめて助かる手助けでもと考えて


「これを頭から浴びるんだ!」


塩水入りのビンをゴブリンの前まで転がして、その場を去るのだった。

ナラヤ:魔物も生きてるのだから

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