-120- 俺、デートする
ナラヤ:デートってどうすれば……
俺はこれから、アイラとのデートだ。
約束の時間は10時半なのだが、俺は緊張して30分前からその辺をうろついていた。
「ナラヤお兄さん、何やってるんですか?」
「あぁ、リルちゃん。もう仕事終わったのか?」
「はいです!これからマコちゃんと武器屋巡りに行くのです!
それよりも、お兄さんはアイラお姉ちゃんを待ってるんですか?」
「そうだけど…、よく分かったね。」
「入り口付近をウロウロしているお兄さんを見てお姉ちゃんが苦笑いしていたので……。お兄さん自覚ないと思いますけど、かなり目立ちますよ?」
「えっ?そんなに目立ってた?」
俺の格好は少しデートを意識しているとはいえ、普段着だ。
そこまで目立つ動きもしていないと思うんだけどなぁ……
「そんな緊張した感じでウロウロしていたら目立つに決まってますよ。ほらほら、お姉ちゃんが来るまで席でじっとしてましょうね。」
俺はそのままリルちゃんに背中を押されて席に着いた。
改めて目立ってたという事実、そしてそれをリルちゃんに窘められたことに顔を赤くしていた。
……冷静に努めよう。
俺はそのまま精神統一に努めたのだった。
そして約束の時間がきた────
「ナラヤさん、お待たせしました!」
目の前には顔を赤らめた天使が居た。
──ゴンッガンッ
「ちょっとナラヤさん?!何やってるんですか!」
「痛い…夢じゃない……。」
「夢じゃないですよ。もう、昨日まで寝たきり状態だったんですから変な行動はしないでくださいよ……。」
「ごめん、一瞬まだ俺が寝たきり状態で天使が俺を迎えに来たのかと思ってな。すっごい可愛いよ、アイラ。」
「もう…恥ずかしいですよ……。」
アイラが手を前に組み替えながらモジモジする。
可愛い。格好も仕草も…もう、かわいすぎる。
「と、とりあえずお店に行きましょう!わたし、オススメのお店を調べてきたんです!」
「そういえば、今日の目的は何なんだ?食事?買い物?」
「何当たり前のことを聞いてるんですか。デートなんですから今日の目的は。」
するとアイラは俺の耳元で小さく。
「ナラヤさんと一緒にいることですよ!」
「──アイラっ!ありがとう!」
そのまま、俺はアイラの案内で様々な場所を巡った。
食事処やアクセサリーショップ、博物館まで1日かけて周った。
そして空も紅に染まってきた頃、俺たちは帰路に着くのだった。
「そういえばアイラ、今日はゆせりぐ亭とかギルドの仕事は大丈夫だったのか?」
「ああ、それは4日前から1週間休みを頂いたので大丈夫ですよ。」
「なるほど。」
俺のせいか…アイラを助けるためとはいえここまで心配させるなんて……。
「なので、ナラヤさん!後でわたしの部屋に来てくれませんか?」
「アイラの部屋に?別にいいけど、なんで『後で』なんだ?」
「ちょっと汚れてるので……。」
「もしかして、俺のせいか?」
カナンとフウカからアイラが「わたしのせいで───」と荒んでいたことは聞いてるので、直球で尋ねる。
「そうですね……でも───」
「それなら後でと言わないで、今すぐ行こう!」
俺もアイラがどれくらい傷付いてしまったのかを知っておきたい。アイラは普段からあまり悲しみ等は表に出さないから今回の迷惑がどれほどか把握できてないのだ。
「ちょっとナラヤさん?!手を引っ張らないでくださいー!」
俺はそのままアイラをつれてアイラの部屋に入ったのだった。
「これは……」
部屋の中はタンスというタンスから服が引っ張りだされて床やベッドに散在していた。
「うぅ…もうお嫁に行けない……。」
アイラはこの光景を俺に見られたことがショックだったのか床にへたりこんだ。
俺も俺で、ここまで荒れていたのかと驚愕していた。
「アイラ、この光景は──」
「はい。昨日ナラヤさんとのデートのために部屋中をひっくり返した痕跡です……。」
「えっ?俺のせいで荒れていたのかと……。」
「ナラヤさんとのデートのせいですよ?」
確かに俺のせい、か?
「てっきり俺はアイラが自分のことを責めて部屋のものがめちゃくちゃになってるものだと…」
「いえ、そもそもわたしは3日間ずっとナラヤさんの傍にいましたからね。この部屋には帰ってすらいないですよ。」
「そうだったのか。心配かけてすまなかったな……。」
部屋の荒れ模様が自分を責めた結果じゃないことは安心した。
というか、デートのためにここまでしてくれたことか分かって嬉しいくらいだ。
だか、俺はその後言われた3日間ずっとアイラが傍にいてくれたということが頭から離れないのだった。
ナラヤ:アイラ、本当にありがとうな。




