望まぬ再会
『ふゆのじょおーさまをマモれー! いくぞー!』
『おー!』
雪の精たちは力を合わせ、塔に近づこうとする者を排除していました。
無論、これは冬の女王の指示ではありません。冬の女王は止めさせようとしましたが、雪の精たちは若者を待つ冬の女王のことを慮って、ある意味暴走しているのです。
もはや途切れた繋がり。そのようなものに縋って、この国を危機に陥らせる冬の女王を、許さない人もいるでしょう。しかし、それを守ろうとする存在もいました。それが、冬の女王と共にこの国の冬を盛り立ててきた雪の精です。
そして、他の季節の女王たちも。説得に訪れた際、雪の精に事情を聴き、自分達は何も出来ない、とそう判断しました。とはいえ、それでも説得に走る人々を止めようとはしませんでした。中立、それが女王たちに出来る精一杯でした。
王様は事情は知りませんが、それでも冬の女王のことであるから何か深い事情があるのだろうとは考えていました。しかし、それでも冬の巡りを妨げることは容認できることではありません。
今まで、兵を送り、様々な者を説得に送りました。
「女王、冬を長引かせては作物も取れず、国の貯蓄も費やすことになります。貴女の気まぐれでそれを無駄に浪費させるのであれば、いざという時にそれが無くなってしまい本格的に民たちが飢えに苦しんだとしたら、あなたはどう責任を取るつもりか」
物の道理に通じる学者が
「お願いです女王様。皆、貴女を信じて日々を生きております。であるというのに、この仕打ちはあんまりではないですか」
女王の元に日々を過ごす農民
「この国は寒くてたまらないな。これが、この国の姿なのかい?」
国を気まぐれに訪れる旅人
「あぁ冬の女王様。冬は確かに美しかれど、過ぎたる寒さは気の毒だ。たまには冬の白さだけではなく、花咲く桃色の風景も垣間見たいものだよ」
季節を謳う芸術家
「冬の女王。お主がどうして冬を長引かせているのかは知らぬ。しかし、わしにはこの国の民に豊かさをもたらす責任がある。それは、冬の女王。そなたも同じと見ていたのだがのう……残念でならぬ」
さらには女王と同じ民を愛する為政者たる王自ら。
しかし、どうあっても説得には応じず、冬の女王はただ、ごめんなさい、と謝罪を口にして、最後には冬の女王から哀しみを遠ざけようとする雪の精に追い出される始末でした。
「……やむを得ぬ、か」
王様は、一つの決断をします。
これだけは、これだけは採らずに済むよう懸命に手を尽くしてきましたが、止むを得ません。王様には、この国の未来を担う責任があるのです。
冬の女王を悪者と見做し、塔から無理矢理追い出すこと。しかし、これはつまり、冬の女王の座の空白を意味し、次の冬までに冬の女王が見つかるとも限りません。冬という季節そのものがこの国から消え失せてしまうかもしれません。それだけは避けるためにお触れにもその旨は書き記しました。
しかし、そうも言ってはいられない程、王様は困っていました。そして、異国から名高い勇者を呼びつけたのです。
「頼めるか? 勇者よ」
その勇者は、冬の女王と心を通わせた若者、その人でした。




