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本庁の激務に塗れたお偉いさんたち、聖母の洗礼(糖分)を浴びる

日曜日夜の更新です! 週末のゴールデンタイムにお付き合いいただきありがとうございます!

前回、ひじり君の『悪魔のレシピ(甘々コーヒー)』に脳を焼かれ、一ノ宮クランを大絶賛する報告書を本庁に送りつけた監査官カレン。

彼女が本庁に持ち帰ったそのコーヒーが、今度は行政のトップたちを巻き込んでとんでもない流行テロを巻き起こします……!


――行政の最高中枢――【特別監査室・中央本庁】


そこは、18の全区を統括するエリートたちが、不眠不休で書類の山と格闘する、この世界で最もストレス指数の高い「超絶ブラック職場」であった。


「……冷泉監査官。君が提出した一ノ宮クランに関する報告書だがね」


深夜の本庁長官室で呼び出されたカレンの前に座るのは、特別監査室の最高責任者である総長――通称「鉄血のバルトロメウス」だった。


彼は前職で軍の過酷な兵站管理を担い、その冷酷なまでの冷徹さで組織を統制してきた、文字通り国家の犬の頂点に立つ男である。


「一ノ宮クランを『国家推奨の最優良クラン』に指定し、一切の監査を免除せよ……だと? あの治安最悪の18区で私兵を募っている組織を、そこまで優遇するなど前代未聞だ。一体向こうで何があった?」


総長の鋭い眼光がカレンを射抜く。


だが、カレンの瞳に迷いはなかった。


「総長。言葉で説明するよりも、これをお召し上がりいただいた方が早いかと存じます」


カレンが机の上にそっと置いたのは、一ノ宮クランから魔法の保冷箱で大事に持ち帰った、ひじり特製の『甘々コーヒー(紙コップ入り)』であった。


「……ふん、ただの泥水か。私を毒殺する気か?」


「滅相もございません。総長、ここ数日、まともな睡眠をとられていないのでしょう? 私を信じて、一口だけ」


バルトロメウスは忌々しげに鼻を鳴らし、渋々その紙コップを口に運んだ。


彼は本職の重圧と、終わらない予算交渉のせいで、慢性的かつ深刻な偏頭痛に悩まされていたのだ。


――ズ、ズズ……。


「ッ!!!!????」


総長の頑強な身体が、まるで落雷に打たれたかのように激しくのけ反った。


(な、何だこれは……っ!? 圧倒的な暴力とも言える糖分、そしてそれを包み込む濃厚な乳脂肪の波……! 身体が、私の脳が、この強烈な快楽を拒絶できない……!!)


長年、過酷な軍隊生活と官僚社会の縦社会を生き抜き、心を殺してコーヒーの苦味だけを啜ってきた鉄血のバルトロメウス。そんな彼の枯れ果てた肉体に、限界社会人用の『悪魔のレシピ』が一瞬で浸透していく。


(……消えた? 私を長年苦しめていた、あの脳の奥の締め付けられるような偏頭痛が……完全に消え去っただと……!?)


総長は、信じられないものを見る目で紙コップを見つめ、それから一気に残りのコーヒーを飲み干した。ハァハァと荒い息を吐きながら、カレンに掴みかかる。


「冷泉監査官……! この『奇跡の霊薬(聖母の雫)』を、あの18区の男が作ったというのか!?」


「はい。ひじり様は、私を一瞥しただけで私の疲労を見抜き、このお薬を恵んでくださいました。そして、社会の規律を守る我々を『全面的にリスペクトしている』と……そう仰ったのです」

「……我々を、リスペクト……だと……?」


バルトロメウスの目から、熱いものが溢れ出た。


国のために泥を被り、誰からも恨まれる冷酷な粛清を行い、過労死寸前まで働いても、誰も自分を褒めてなどくれなかった。


それを、あの18区の『聖母』は、全てを包み込む包容力で承認してくれたのだ。


「ああ……なんという大徳。これほどの霊薬を、見返りも求めず我々に与えてくれるとは……。彼こそは、我が国の病んだ中枢を救う、真の救世主だ……!!」


バルトロメウスはガタガタと震える手で、カレンの報告書に【即時承認】の最高特権スタンプを叩きつけた。


「一ノ宮クランを国家最優良組織に指定する! 予算? 出せるだけ出せ! 18区の予算を全てあそこに回しても構わん! その代わり、あの『聖母の雫(甘々コーヒー)』を定期的に本庁へ納品させるルートを確立せよ!!」


「はっ! 御意にございます!」



こうして、本庁のトップまでもがコーヒー(糖分)の奴隷となり、一ノ宮クランは一夜にして「国家の最高権力機関が全力でバックアップする、誰も触れてはいけない超特権聖域」へと跳ね上がった。



――その頃、18区の一ノ宮クラン――



ひじりは、部屋のコタツ(魔導具仕様)でぬくぬくしながら、お気に入りの漫画の新刊を読んでいた。


「あー、やっぱり部屋でゴロゴロしながら飲む、ただの白湯は最高だな。あの怖い監査官の人、もう二度と来ないといいんだけど。なんか『またお茶淹れてね』とか言ってたし、次来たら今度は前世のデパ地下で売れ残った時にタダで貰ってた、超激辛の試作キムチでも出して、刺激強すぎて早々に帰ってもらおうかな……」


ひじりは、次の「クレーム防衛策キムチテロ」の計画をのんびり練っていた。


それが、国の中枢にいる「鉄血の総長」の胃袋と脳みそを、さらにドロドロに焼き尽くす最強の大量破壊兵器になるとも知らずに――。



日曜日夜の更新でした!

監査官カレンに続き、本庁の最高責任者である総長バルトロメウスまでもが、ひじり君の「徹夜明け用の甘々コーヒー」に脳を焼かれてしまいました(笑)。

い!



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