六日目 腹を割って話しましょう?
来たか、アケミチ。今更、二人で話したいなんて言って、はるばるメリカンにまで来るなんて。お前、華凜の親父の子飼いになったらしいが。
「そうですね。私なりに、色々と考えているんですよ……仕事以外では、あの時以来でしょうか?」
ハッ……要件はなんだよ。分かりきってるが、聞いてやる。
「相変わらずのその短気……少しくらい雑談を交わしてもよろしいのでは?」
…………カリン、は。元気に、してるか?
「えぇ。言伝ももらいましたよ。今度、一緒に飲もうって言ってました」
……その中に、お前はいるのかよ。
「さぁ? 昔よりも更に嫌われてしまいましたから……本人に聞いてみないとなんとも」
ハハッ。自業自得だなぁ! ……元気なら、良かったよ。
「では、そろそろ本題へと参りましょうか。マーク、貴方は……大崩壊を事前に知っていましたよね?」
……あぁ、そうだ。俺は、あの時カレツがあんな事になることを…………知っていた。それに、協力も……していた。その、理由は…⸺。
「⸺華凜の為、ですよね?」
っ、そう…だ。俺は……大勢の人間よりも、カリンを。掲げた理想よりも、己の感情を優先した。永遠の反省も、生涯晴れることのない罪を背負うことも承知の上で………後悔しない方を、選んだんだ。
「でも、貴方は理想を捨てることも出来なかった。だからあの時、私を見捨てなかった」
……………今更、俺の罪を暴いて、どうする気だ。
「特に、何も。今回の話し合いは、上司には河川敷で言葉で殴り合ってくるとしか説明しておりませんし、誰かに話す予定もございませんよ」
は? いや、河川敷は分からんが……言わない、のか?
「はい。貴方が話したくなれば話せば良いでしょう。それに、一番聞きたいことではありませんから」
馬鹿だろ、お前。
「ふふ。随分昔に、貴方達によく言われましたね……大崩壊の首謀者について知っていること全てを、話して下さい」
分かった。ソイツは男で、見える肌全てが青白かった。死霊術師だったが、見た事もない、針の様な遺構物を使って使役していた。ずっと近くでカリンを見ていたからこそ分かる。異能やギフトは戦闘向けは持っていなかった。それと……未成年だった。声変わり前の、少年にしても少し高い声で。
「なるほど。髪や目は見ましたか?」
……カレツじゃ、ありふれた黒髪に黒目だ。⸺あぁ、そうだ。ソイツは、黒フードの供がいた。黒フードは一切喋らなかったし、体型も見えなかったが、俺よりも背が高かった。
「分かりました。情報提供、ありがとうございます。貴方はこれからどうしますか?」
心配だった後輩も、今では随分頼もしくなった。後はもう、いない方が成長するさ。だから………自首するよ。
人から、正式に裁かれて……罪を、背負うさ。
「私から、首謀者では無いと口添えはしますが……厚塗って椅子にしがみついている老人達のことです。貴方に罪全てを、その上近年の大事件の諸々の罪も押し付けてしまうでしょうね」
お前……散々な言い様だな。それに、カリンの親族もいるんだろう?
「ふふふ。散々、お世話になりましたからね……それは置いときまして、マーク。貴方が自首をするなら、此方が首謀者を捕えてからお願いします」
アケミチ、お前………最初から、そのつもりで話に来たのかよ?
「さぁ……それこそ、どうでしょうね?」




