七日目 兄弟アンデット
「あ、兄さん。起きました?」
久方ぶりの起床に、親愛なる弟の声が聞こえる。少し元気が無いようだ。ふむ……何かあったのか聞くとしよう。
「あぁ、いえ。とうとう、兄さんの事がバレてしまって。それも、雷撃瀟洒に」
なるほどな。確か、カレツの時に影身気炎と接触したからな。そこからだろう。まぁそこは織り込み済みだ、我らの計画を止められる筈が無い。
「⸺あ、そうだ。星花崩拳はエジングの受付になってたよ。受付してもらったけど、今までの子よりも手際良かったよ〜」
彼女は、本当に要人の娘であり孫なのだろうか? まぁ私にはさほど関係の無い事だ。
「何でもないって顔してるけど……兄さんが脅しに使ったこと、覚えてるからね?」
………我が忘れることなど無い。そう、頭の隅に追いやっていただけなのだ。この小さいうえに腐った頭で全てを同じ位置に覚えているなど不可能だからな、うむ。
ところで、我が弟がまた新たな子を迎え入れたようだ。それも、それなりに老化した男の。何処の誰か聞くと、想定よりもすんなり教えてくれた。
「この人? 飲み友達。焦って身の丈に合わないダンジョンに潜って死んだ愚かな男だよ。酒の趣味が合っていたから、その恩でね。魂もあるよ」
ふむ……少々嘘をついているな。だが、どうせいつもの惚れ癖だろう。我が弟は、年老いた男に惚れる妙な癖があるからな。だから使役するアンデットの元は老いた男ばかり。
たまには若い娘や幼子を拾って有効利用すれば良いというのに、この弟は。
「⸺それより兄さん、身体の調子はどう? そろそろ馴染んできたんじゃない?」
あぁ、そうか。我が弟に指摘されて、ようやく肉体に目を向ける。ふむ……あの鬼の心臓はコアとして充分に動いているな。既に同化しかかっている。
確認したことを告げると、我が弟は頭を抱える。失敗した仕草にも見えるが、これは我が弟が思考している時の癖だ。案ずることは一つも無い。
「うん……良い経過だよ。それじゃあ、私は新入りも含めた手入れをしてくるよ」
良い経過なら、もう直ぐ動けるだろうな。それよりも……。
『⸺元身体の手入れも忘れるなよ? 綺月』
「分かってるよ……お兄ちゃん」




