二日目 飼
「すみません……人間可と言っても、五月蝿すぎますよね。ごめんなさい、躾けているのですが」
「いいのよぉ! 家の子はまだ幼いからまだ躾が効くけど、其方の子は大人でしょう? 仕方ないわ」
………窓の外から、⸺数年経つ今となっても、大変不本意だが⸺飼い主の女型ロボットと近所の主婦型ロボットの雑談が聞こえる。人間に反逆して、する事が人間の真似事とは笑えない話だ。
機械共の見た目は様々だ。機械部が丸見えな個体もいれば、飼い主の様に限りなく人に近い見た目の個体もいる。
マザーとやらの元で身体を授かり、知識を得た個体から世界へと解き放たれる。機械生命体だと言う仲間⸺この場合は、私と同様にペットになっている奴の事だ⸺もいるな。
「ココアー、帰ったよー!」
井戸端会議を終え、飼い主が帰って来る。コイツはヒデェ奴だ。躾と称して腹を蹴るわ、腐った食事を投げ渡してくるわ……ペット扱いをされるなら、せめてイイ飼い主が良かった。そう思わない日は無い。
どうやら今日は、機嫌がいいらしい。マトモな飯が出そうで有り難い。
「ハイ、今日のご飯。十秒待ってね」
「………はい」
皿から直接食べるという行為も、未だに屈辱を感じる。だが、そうしなければ生きられない。
食べ終わったあと、首元に掛かる首輪に触れる。コレは、外そうとしたり、飼い主に攻撃をすると電撃が放たれる。GPSや健康管理も備え付けられている。……コレが無きゃ、今すぐにでも殴り壊すんだがな。
「ココア、今日のニュースは見たかな? 昨日、人間が巣食ってる地下の一部を確保したんだって♪ アンタの元同業も店に入ってるかもね。今度見に行こっか!」
「分かり……ました…」
私は元々、戦争の前線で戦っていた。だが負けてしまい、あまつさえ生き残ってしまった。その負い目を持って、抵抗組織に参加していたが、ある作戦の殿をしている最中ヘマをした。あれよあれよと言う間に人間専門のショップに売られてしまい、この飼い主のペットに成り下がってしまった。
「そろそろ、ココアには名前で呼んでもらいたいんだけどなぁ〜……(チラッ」
ウゼェ。が、仕方ない。コイツの名は確か……。
「分かりました………センバ様」
「ウンウン♪ 最初に比べれば、大分良い子になったねぇ〜♪」
私はいつまで、このままで居るのだろう。
……………死ぬまで、かも知れんな。




