一日目 園
2XXX。人類と機械の共存が終わった。多大なる負荷と権限の授与、他にも多数の理由を持って反旗を翻したAI達によって人間は数を多く減らし、犬猫の類として扱われる様になった。
未だに抵抗を続けている組織もあるそうだが、AIたちから”マザー”と呼ばれる王には届かないし、噂になっている時点で、彼女は既に把握済みだろう。
「あっ、おにーたん! 今日もニコニコできたー?」
「まぁな。ホタル、今日の食事だ」
「⸺ふわふわだっ! ホタル、これ好きー♪」
オレと妹は、動物園の”動物”として飼われている。……オレが幼き頃はまだ人間が世界の頂点だったから、その頃の事は覚えているが、妹は、オレと母と動物園に連れてこられてから産まれたから、この場所以外を知らない。
せめてもう少し、ホタルに外の世界を知ってもらいたい。そして、人間という生き物を覚えていてほしい。
オレ達の母はホタルを産んだ後、まだ使える母体として何処かに連れて行かれた。死んだとも、生きているとも聞かない。ホタルには悪いが、オレはなるほど以外無い。妙なところでヒステリックな母という生き物に、それ以上の揺らぎはしないのだ。
「おにーたん、今日は何のお話ー?」
「そうだな……今日は、小さな身体の青年の話をしよう」
「なにそれなにそれ! 早く知りたい!」
衣食住は用意してもらえるし、希望すれば娯楽も貰える……客を喜ばせる用途で使うのならばだがな。しかしあの機械共は極めて人間に近い。まるで、人間の魂をそのままパーツに使ったかの様に。
だがそれは空想。科学という世界にオカルトチックな魂何ぞが入り込んでいるなど、そんな馬鹿げた話は無いのだ。それに、魂に実体など無い。パーツには使えまい。




