三日目 常連の来店
「あらあら。あの偏屈頑固ジジイが子供を雇ったって噂を聞いたのだけど、本当だったのねぇ」
久々に来てみれば……随分とまぁ、埃っぽさが減ったものね。此処の品々は手入れを滞ってはいけないというのに、あんのジジイは……。
黒髪の少年は困った様な顔をしてこちらを見ている……そうだったわ、今日は買いに来たのよね。
「定期購入に来たわ。多分、妙なところでマメなジジイの事だから、カレンダーに書いてあるはずよ」
私がそう言うと、少年は光る板を触り出して私の名前と注文の品を確認した。
「⸺えぇ。メディセヴで、件1kgと水晶竜の涙1L。合っているわ。纏めてあると思うから、お願いできるかしら?」
少年は返事をすると駆け足で店の奥へと引っ込んだ。まだまだ未熟ね。
……それにしても。あのジジイ、引退でもする気なのかしら? 若い子を育てる様な真似、初めて見たわね。けど、詮索はしない方がいいかしら。
桜色の瞳の少年が木箱を抱えて戻ってくる。持って来た木箱の中を確認すると、いつも通り。えぇ、今日も変わらないわ。
代金は毎年一年分払っているから、一月に一度商品を受け取るだけでいいのは有り難いわね。あのジジイにしては気が利いてる。
「……⸺何に使うのか、気になるの?」
少年の視線に気づき、少し揶揄いの意味も込めて圧をかけたが、その圧に気づいた様子も無く何に使うのか気になると正直に答える……へぇ。案外普通の子では無いのかもね。
「良いわよ。といっても、どちらも料理に使うだけよ。件は旦那様の好物でね、件はここが一番いい品を仕入れてくれるのよ。水晶竜の涙は、スパイスや食感を変えたい時に重宝するのだけど、他所じゃ滅多に売られないの」
それを聞くと、タメになったという顔で少年は笑った。




