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あの国は、なぜ妨害しようとするのか?

「状況はわかりました。ですが解せないことがございます。彼の国は、なぜ妨害工作を仕掛けてくるのでしょうか?

 世界最大級の『鬼界カルデラ』が破局噴火を起せば、自国の沿岸部にも多大な被害が及ぶはずですが、それをわかっていないのでしょうか?」

 鬼界カルデラの破局噴火は、アジアのみならず西欧諸国にも「冷夏」というかたちで影響を及ぼすとされている。彼の国の気象学者が知らないわけがない。

 カイトには、理解できなかった。

「いや、いちおうはわかっているだろう。だが、あの国では政治判断が、すべてに優先される。学者の意見などは、参考意見にしか過ぎない。これまでの環境問題に関する主張を見れば、わかるだろう。自国にとって有利かどうかが大事なんだ」

 政府筋の年配者が、答えた。

「なぜ妨害が有利となるんですか?」

 カイトは、質問を重ねる。

「まず第一に、日本の国力を弱らせることができる。経済的に大打撃となるからな。その弱みにつけこんで、あれこれと工作できる。

 第二に、西日本各地と沖縄に存在する自衛隊及び米軍基地にも被害が及び、機能しなくなる。九州から沖縄にかけての防衛ラインが、崩れてしまう。とくに鬼界カルデラの近くには、政府が無人島を買い取って自衛隊と米軍との訓練基地を設けようとしている。これが完成したら、あの国としたら目ざわりな存在となるだろう」

「つまり政府としては単なる訓練基地でなく、南西諸島防衛の(かなめ)としての機能を持たせようとしているんですね。『浮沈空母』と例えられるような――」

「それは、君の想像に任せるよ」

 明確な返答は避けたが、その笑みが事実であろうことを表していた。

「彼らとしても表立って妨害工作を仕掛けているわけではない。だから、自国に被害が及べば日本に対して抗議し、賠償を求めてくるだろう。

 国民も、自国政府から事実を知らされなければ、『なぜ対策を打たなかった』と日本を激しく責め立てるだろうな。

 このように並べてみれば秘密裏の妨害工作が、あの国の政府にとってデメリットよりもメリットの方が大きいことがわかる」

 納得できる解説であった。カイトも、うなずく。

「日本側としても、すべてを公表することはできません。大パニックとなりますからね。できれば何事もなかったかのように済ませたいところですが、それも不可能でしょう。

 最小限の被害に抑えるためには、霊界からの助力が必要なのです。『わたつみの宮』は、全面的に協力してくださることになっています。問題なのは、先刻から話題となっている彼の国からの霊的攻撃です。おそらく魔導師の吊用之は、妖魔や怪物を駆使して仕掛けてくるでしょう。我々もカイト君や善女竜王様、リンレイ様などのご助力を賜り、防衛計画を練っておりますが、それにはアマミコ様のお力が欠かせません。よろしくお願い致します」

 梅宮が、改めてアマミコに頭を下げた。

「承知いたした。そのために吾は招へいされたのであろう。どこまで立ち向かえるかわからぬが全力を尽くそう。

 だが、一つ気がかりなことがある。吾が友であるジュマがいないことだ。あれがいないと闘えぬ」

 難しい顔をしてアマミコは、言った。

 「(ジュ)()」とは、吊と一騎打ちをした際、騎乗していたキマイラの獅子である。少女の頃から手塩にかけて育てた相棒であった。相打ちとなったときから行方知れずとなっていた。現実世界では生きているはずもないが、魂だけでも残っていないかとアマミコは願っていた。

「では、ゼンに尋ねてみましょう。彼女は時代を超えて遍在していますから、探し出すことはできるかもしれません」

 カイトが、提案した。

 霊界が戦場となるならば、霊体でも十分に闘えるであろう。

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