白(2−10)
「ふ・・・フーちゃん? 何やってんの〜?」
「アッハハハ! ハハハハ・・・プッ、アハハハハハハハハ・・・・
いやあ、あの子! 面白いね! 自分から天井に突っ込んでいって、しかもそのまま天井に突き刺さって気絶してるんだもん!
長年この学院で過ごしているけど、あんな子初めて見たよ!」
フログとノアが突然戦い始めてしまったのでスノウとソフィアひとまずその様子を見て、互いに「長引くようならば私たちも戦闘を始めよう」と考えていたのだが、思ったよりも早く、予想外の決着を迎えてしまった。
ちなみに、遮音結界の外での評価は「あとは能力の使い方を訓練すれば・・・」とか「能力自体は強いが・・・」といった感じで概ね良好と言えるものだった。
「それじゃあ、スノウちゃん! 私たちもそろそろ戦闘を始めようか!
私の準備はできているから、スノウちゃんの好きなタイミングでかかってきてね!」
「わかりました〜。 それでは〜、お言葉に甘えて〜『強化』・・・。
行きます〜」
フログの初撃を『相手の不意を討つ、曲線的な動き』と表現するならば、対するスノウは「正々堂々、一直線に的に向かう動き」と言えるかも知れない。
ただし、スノウは長年の訓練の末、剣術や体術においては様々な流派で『免許皆伝』をしており、本人に自覚はないようであるが「並の相手であれば、能力など無しでも圧倒できる」ほどの強さがあると言われている。
今回、スノウの対戦相手に『生徒会長』という、並とは言えない使い手が選ばれたのには、「一般生徒などでは能力を測ることも出来ない」と生徒会で判断されたからであった。
そんなスノウの踏み込みは音速を超えており、観客席で見ていた生徒のほとんどは一瞬のうちにスノウの姿を見失っていたのだが、さすがは生徒会長というべきか、スノウの踏み込みからの切り上げに対し、正確に、的確に訓練用の片手剣を打ち合わせたのだが、次の瞬間
バギィッ・・・
と、鈍い音とともにソフィアの持っていた片手剣に大きな亀裂が走った。
「ッフ・・・、フフフ、まさか一撃で!? ならば!」
ソフィアは、自らの剣が『使い物にならなくなった』と判断すると、高速でバク転しながらスノウから距離を取り、横に放り投げた片手剣の代わりに「『創造』!!!」と叫びながら新たなる片手剣を生み出した。
「スノウちゃん、ごめんね。 訓練用の片手剣じゃああまりに強度が足りないから、次からは能力剣を使わせてもらうよ!」
「はい〜、構いませんよ〜! 結果は、同じことですので〜!」
観客席から見ると、スノウの直線的な攻撃を、ソフィアが軽く受け流しているように見えるかも知れないが、実際はソフィアの方にも余裕はあまりない。
というのも、スノウの攻撃は、様々な流派の攻撃を、その場の状況に応じて流れるように切り替える方式で、ある程度剣術に詳しいソフィアでも次の攻撃が全く読めなかったのだ。
それに加え、これも外からではわからないのだが、スノウの剣撃一つ一つに、先ほど片手剣を破壊したのと同じかそれ以上の攻撃力がこもっており、気をぬくと武器の方が崩壊してしまいそうだったからである。
しかし、スノウの方も、あと一歩のところで押し切れない。
剣術や体術の面では圧倒的にスノウが優勢なのは間違いないはずなのに、それでもギリギリ踏みとどまる当たりが、「さすがは生徒会長」と言えるのだろう。
そうして剣戟を続けること約10分。
お互いに若干疲れを見せはじめていた頃。
スノウが上段に構えて剣を振り下ろそうとした瞬間
「・・・?」
スノウが攻撃の瞬間に致命的な隙を生み出してしまった。
実はその瞬間、スノウが剣に対して発動した『固有能力による強化』が終了した瞬間でほんの数グラムだが剣の重さが増していた。
実は『固有能力による強化』の中には『重量の軽減』もほんの僅かに含まれていて、能力が解除された瞬間にその重さが元に戻っていたのだ。
常人であれば気づかないレベルの変化だが、まさに攻撃を仕掛けようと思った瞬間に数グラム重さが増したことにスノウは違和感を感じ
「・・・・・ッ」
その隙を逃すソフィアではなかった。
無言のまま、一瞬の隙を見せたスノウに剣を突き出してカウンターを仕掛け、スノウの胴体を一瞬のうちに横薙ぎにした。
服に仕込まれた『防御結界』が発動したので深刻な事態にはならなかったが、もしそれがなかったら今頃スノウの体は真っ二つになっていたかも知れない。
「フゥ・・・、やっと隙を見せてくれたか!
まあ、その能力の現時点での弱点も見えてきた頃だし、ちょうどいい頃合いだったかな?」
「・・・・・、はぁ〜、負けましたか〜。
さすがは『生徒会長』です〜」




