黒(2−9)間隙 跳躍 決着
この話で一旦連載を停止します。
※次話以降は不定期での更新(1週間〜1ヶ月に一度程度)にするつもりです。
「テヤー! 隙ありー! なんだぞ☆」
「フッ、クッ、トォリャー!」
「え? お? み、ぎてを、『強化』!」
フログが持ち前の身体能力でノアの背後に回り込み、隙だらけの背中に拳を突き出すと、まるでノアはあらかじめわかっていたかのようにピンポイントでその位置に片手剣を移動し、フログのことを見ることもなく攻撃を受け流してしまった。
危うくフログは素手で剣の刃を殴りつけ、自滅してしまうところだったのだが、危機的状況で直感的に『固有能力』を使って拳を強化。
結果、金属並みの硬度を得た拳と同じく金属でできている片手剣が衝突し、鈍い音が響き渡った。
「ふぅ〜、危ない危ない・・・。
開始直後に不意打ちとは、なかなか肝が座っていますね」
「そ、そんなことより、今のはどうやって防いだんだぞ?
わかった! それがお前の固有能力なんだぞ☆」
「ふふっ・・・、それはまあ、企業秘密ってやつですよ。
それにしてもその速度。 さすがは『身体強化』の能力を使っているだけのことはありますね。」
実際のところ、フログの高速移動には固有能力が使われていなかったように、ノアの『ノールックガード』にも固有能力は使われていなかった。
ノアは、フログの姿を見失った瞬間に「これは、隙をついて後ろから攻撃してくる」と直感したノアは、あえて背中側に無防備な隙を一箇所作り、フログの殺気に合わせてその箇所に片手剣を移動していたのである。
武器があくまでも訓練用のものであったのと、ノア自身、今回はあくまでも実力を見るつもりだったので、この一幕は引き分けとなったが、もし仮にこれが、ノアが『戦闘用の剣』を使っていて、しかも剣をおくだけでなく振り抜いていたら、今頃間違いなくフログの体は真っ二つになっていたであろう。
「なるほど、強いんだぞ☆ だったら次は、小細工抜きで正面からぶつかるんだぞ☆」
「いいですね! 僕もそういう正々堂々は嫌いじゃありません!
受けて立ちましょう、いつでもかかってきてください!」
フログは、先ほどのやりとりで己の『固有能力』の特性について、誰に教わるでもなく気づき始めていた。
フログの能力は大雑把にいうと『身体強化』ということになるが、その強化の種類は大きく分けて『能力上昇』と『能力付与』の二つに分けられる。
例えば先ほどフログが『自身の拳を強化』していたのは、『能力付与』により、自身の拳に『金属並みの強度』を付与していた。
そして今、フログがイメージしているのは『能力上昇』
「まずは、右目に集中して・・・、そして、右目から流れるエネルギーを両足に集中して・・・、よし! いくぞ☆」
「ふふっ、かかってきなさい!」
その瞬間、ノアだけでなく、観客も含めた全ての人間がフログの姿を見失った。
「き・・・消えた!?
右? いや、左!? 違う、ならば後ろ!?
まさか、この僕が相手を見失うなんて!?」
パラパラパラ・・・。
「ん? なんだ、この粉・・・。 まさか、上か!?」
上空から埃のような粉が降ってくるのに気づいたノアは、バッと上を見上げると
そこには、遮音結界を通り抜け、天井に頭から突き刺さって気絶しているフログの姿があった。




