河野舞
私は河野舞。直樹くんの幼馴染だ。
直樹くんとは幼稚園からの付き合いで、よく家族ぐるみで出かけたりしていた。家も隣で私と直樹くんの親は昔から仲がよかったらしい。
私は昔から人と話すのが苦手で、友達がいなかった。お母さんとお父さんともあまり喋ったりしなかった。よく両親に直樹くんの家に連れて行かれたけど、直樹くんとは一回も喋らなかった。
そんなある日、家の近くの公園の砂場で一人で遊んでいたら、直樹くんが話しかけてきた。どうせお母さんに、一緒に遊んでって頼まれたんだ。そう思って、話しかけられても何度も無視をした。でも直樹くんは何も言わずに、私のトンネルを作るのを手伝ってくれた。
なんで何も喋らないで無視する私なんかと遊んでくれるのだろう。最初はそう思ってた。それから、私は、直樹くんと一緒に遊ぶようになった。直樹くんといると安心する。私は直樹くんとなら喋れた。小学生になってからは一緒に登下校するようになった。
でも中学生になってからは、段々と、一緒に登下校する回数が減った。朝、直樹くんの家に行くと、直樹ならもう学校行ったわよ、と直樹くんのお母さんに言われ、放課後に行くと、直樹は外出してていないわよ、と言われた。
学校でもクラスが違うし、直樹くんのクラスを見に行っても直樹くんはいなかった。
直樹くんに会わない日が続いたある日、近くのスーパーに買い物を頼まれて行ったら直樹くんがいた。
「ひ...久しぶり直樹くん」
「ああ久しぶり。どうしたの?もしかして河野さんも買い物頼まれたの?」
セルフレジで会計をそれぞれ済ませながら話す。
「.......そうだよ。なんで河野さんって呼ぶの?変だよ?」おかしい。直樹くんはいつも私を「舞」と呼ぶ。
「ああその話、してなかったっけ」
「何?」
「舞はさ、もう中学生だし、俺みたいなつまらないやつと一緒にいなくてもいいんだよ。最近学校はどう?友達もできたでしょ?」
「どういうこと?」
「分からない?」
「な...直樹くんにはもう会っちゃだめって言いたいの?」
「そうだよ。そういうこと。俺に会う必要なんてないだろ。もうおれんち来なくていいし、一緒に登校しなくていいよ。もっと学校楽しみな」
直樹くんは何を言ってるの?
いつも直樹くんが何を考えてるのかなんて分からない。でも直樹くんにそんな言い方をされたのは初めてだった。
私は、何も言わずに走り出していた。家に着いて、自分の部屋でしばらく泣いた。
それから私は、直樹くんと顔をあわせることもなくなり、両親も何か理解したのか、私に何も聞くことはなかった。
学校では、毎日友達と楽しく過ごした。それでも、1年たっても直樹くんのことは、頭からはなれなかった。
年が変わった。相変わらず私たちのこの状態は続いた。お正月は、挨拶もあって一応顔をあわせたけど、私は挨拶できなかった。直樹くんは、平然と挨拶をしてきた。その時の顔は私たちの関係が崩れる前のいつもの直樹くんの顔だった。
懐かしい直樹くんの作り笑顔。直樹くんはよく作り笑顔をしていた。私は直樹くんが心から笑っているところを見たことがない。本人曰く、作り笑顔と笑顔の違いがわからないそうだ。俺は作り笑顔をしてるつもりはない、といつも言っていた。
中学2年生になった。私と直樹はクラスが同じになった。直樹は、窓側の一番後ろの席だ。一人で黙々と読書をしている。話しかけたかった、仲直りしたかった。でもできなかった。
そして私たちは、異世界に来てしまった。
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投稿が遅くてすいません。登場人物を一人増やしてみました。
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