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二人目の転移者

今、私は、クラスメート全員とダンジョンに来ている。


ここは33階層。




少し疲れた、休もう。




一旦モンスターと戦うのをやめた。




壁に腰を下ろしながら、直樹くんの方を見た。直樹くんはモンスターと戦っているみたい。剣でモンスターを斬って次のモンスターを相手する。直樹くんはこの作業を繰り返していた。




直樹くんから目を逸らそうとした瞬間、フッと直樹くんが消えた。




え?消えた?




直樹くんが消えた場所には鏡があった。


直樹くんが消えたのを見たみんなが鏡に駆け寄る。




「どうするの?ねえ、どうするの?三浦くんが鏡に取り込まれちゃったよ。消えちゃったよ。なんで消えたの?」佐藤さんが言う。




「…………………………俺にも分からない。この鏡に、三浦が映ってることしか。」と和田くん。




鏡の中で直樹くんが必死に何か喋っている。


でも、私たちには聞こえていない。




リウム先生が言う。




「この鏡はな、転移鏡と言って、鏡に触れたものを鏡が映している場所に転移させるんだ。今三浦くんはどこにいるか分からないが、転移してしまったみたいだ。」




じゃあどうしたら直樹くんは戻ってこれるの?




「先生、三浦くんはもうこっちに戻ってこれませんか?」和田くんが尋ねた。




「ああ。もうこっちに戻ってくる方法はない。どこに転移したか分からない以上、なんも手立てがない。」




え?




それって直樹くんは戻ってこれないの?




「そうですか.........でも俺達が全員でこの鏡に触れれば、三浦くんのところにはいけるんですよね?」




「もちろん行けるが、それはさせない。君たちには、魔王を倒してもらわなきゃいけない。どこに転移するかわからないのに、その先には行かせられない。三浦くんは諦めろ。別に君たち全員が必要なわけじゃないんだ。一人減ったぐらいならまだましだ。」




え?何言ってるの?




普通、教師って生徒を見捨てないよね?




「わかりました。……………みんな、三浦くんは、きっと生きてる。転移先はランダムだ。転移先が必ずしも、死ぬような場所ではないことだってあるんだ。」


和田くんまで、なんてことを言うの…⋯




みんなは、次の階層への階段に向かい始めた。




「まあいっか。俺、別に三浦と仲良かったわけじゃないし」


「俺も三浦と話したこともないわ」


「別にいなくなるデメリットなんてないし、職業も剣騎士だし、大して強くなかったし、別にいいよね」




みんな何言ってんの?人が死ぬかもしれないんだよ?デメリット?言ってる意味が分からないよ?




「あいつかなりの足手まといだったんだよな」


「俺近くで一緒に戦ってたんだけどさ邪魔だったわ」


「俺さ、思ってたんだけどさ、陰キャのくせ、異世界に来てからあいつ調子乗ってたよな。」


「それな!ダンジョンの街についたときなんかさ、リウム先生に宿のチェックインしてきましょうか?とか言ってたし、勝手に一人で行動しはじめてさ、何様?って感じ。リウム先生が集団行動は鉄則って言ってたのになあ。」


「いや何様?じゃなくて陰キャな。」




笑いが起こる。




……………何がおかしいの?




「私も前から嫌いだったわ、いっつも死んだ目してるし、気持ち悪いのよね。こっち見られただけで寒気がしたわ。」


「まあこの際、どっか行ってくれて良かったわ。でしょ先生?」


「ああそうだな!クラスの統率が乱れる原因がいなくなってくれて嬉しい!助けようがなかったから俺も王に怒られなくて済むしな。」




先生まで……………




いったいみんな何を言ってるの……………




人が一人死ぬかもしれないっていうのになんでみんな笑顔なの……………




気持ち悪いって何を根拠に言ってるの……………




直樹くんは、悪い人じゃない。気持ち悪くもない。




私から見たらこのクラスと、先生が気持ち悪い。




幼稚園の時だって、よく一人だった私と一緒に遊んでくれた。私が人と喋れるようにきっかけを作ってくれたのは、直樹くんだ。直樹くんは優しい。




あの時、私にひどいこと言っておきながら、その後も私が困っていたら助けてくれる。こないだだって、私が城下町で買い物してて、盗まれたとき、盗まれたものを取り返してくれた。でも、お礼を言おうとしたらいなくなってたし.........




自分では冷たく接してるつもりでも、優しさが出ちゃってる。直樹くんはそんな人だ。




「おーい、河野さーん次の階層行くよー」リウム先生が呼んでいる。




私は直樹くんを見捨てるなんて到底できない。




私は鏡に触れた。




私は、直樹くんを助けたい!力にならなくても!




私は鏡の中に吸い込まれる。




「ええ?河野さん?鏡に触れちゃったよ........ごめんみんなさ、あの鏡、実は一人転移するごとに転移場所が変わるんだよね。さっきは、みんなが三浦くんを助けに行きたいのか知りたくて嘘ついた。でもみんな別に三浦くんがいなくても良かったみたいだし、嘘つかなくても良かったな!まあとりあえず河野さんとさ三浦くんのことは忘れてね」




リウム先生の言葉に、クラスのみんなが騒ぐ。




「えぇ、河野さんも鏡に触れちゃったの?」


「あの二人って接点あったっけ?」


「事故だろ事故」


「馬鹿だなぁ」


「まあ鏡に触れちゃったんだからもうどうしようもできないし別にいいでしょー」


「河野さんって結構可愛いから、残念だな〜」


「それなー、一回犯してみたかったわwアンアン言わせて犯してみたいw」


「脅して、無理やり犯したかったのに〜。あのでかい乳触りながらw」


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