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2013年6月 Part5

 風船のように弾けた肉塊がドロドロと黒いタールをまき散らしながら消えていった。

 まるで焚火の薪が灰となって風に巻き上げられるように。

 「困るな。服がボロボロだよ」

 着ている服には、部分的に千切れていたり、焼き焦げた箇所が多々あった。

 これはまずい。

 少し動くだけで形状がほつれていく。

 「真っ裸で帰るわけにはいかないし、葉っぱで隠すか? ………どこの原始人だよ」

 ため息とともに、あたりを見渡す。

 生命圏ではないここに、植物はない。ましてや、大木となる木などない。

 「本当に邪魔だけは、一流だと思うよ」

 口をへの字にして、消えていった御錠に意味のない言葉を投げる。

 「………公然わいせつ罪で捕まるよりましか」

 用意していた大型BOXの中から一着の着物を取り出す。

 着物と言うより昔の公家の格好だ。

 裏地に名前が刻まれている。

 『祠堂灯火』。

 斎服を着こんでいく。

 燎火さんの分もあるが、色合いが違う。

 僕のモノは、黒主体のもので、燎火さんのものは白。

 昔、階級がうんぬんかんぬんと聞かされた気がするが聞き流していた。

 ともかく、これに着替えるしかない。

 ………かさばる。

 動きにくい。ジャージが恋しい。

 そう思っていたが、着替えた瞬間に着ていた私服がパラパラと崩れた。

 「………おのれ、御錠。服の代金は高いのだぞ」

 特に最後の炎とか。

 まあ、過ぎたことを愚痴っていても進まない。

 燎火さんも戻ってくる気配がない。

 「進めておくか」

 

 

 

 御錠の『魔獣』襲来後、あの場所で儀式を完遂して帰ったのは次の日になる五分前だった。

 当然、佳澄さんは巡視に行っていた。

 好都合。

 いろいろと着ている服が服だけに問い詰められることは避けたかった。

 ちなみに保護した女の子は、葵さんの方で保護してくれるみたいだ。

 退避した際に、その子を病院へ運び込み様態の確認をしてくれていたみたいだ。

 そのあと、いろいろな手続きを済ませて玖条の家で暮らすらしい。

 名前は、祠堂遠火(しどう とおか)

 どうにも、僕の妹らしい。

 まだ見ていないけれど、僕みたいじゃないといいなあ。

 儀式を終えて、燎火さんと葵さん両名と合流して解散という流れとなった。

 まあ、帰り道でいろいろと詰問されたからへとへとだ。

 さすがに精神的に疲れた。

 ………。

 『祠堂のバケモノ』か。

 そんなのは、僕が一番よく知っている。

 引き出しからお守りを取り出す。

 中から青緑の綺麗な光を今でも放つ。

 でも。

 「タイムリミットつきだからさ」

 ベッドに入る。

 いつものと違う時間(ルーチン)

 眠る時間ではなく、活動する時間。

 だけど、すんなりと体は休息を受け入れる。

 これから見る夢に備えて。

 あの場所に行ったあと、必ず見ることになる記録。

 僕がまだ『人間』だったときの記録。

 目を瞑りお守りの中に入っている『友達だったものの残骸』を握りしめて。





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