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 肉体は腐り落ちていく。

 だが精霊である私は、肉体が滅びても霊体では不滅である。

 問題なのは、肉体がなければこの世界に干渉しにくい点である。

 人間に紛れるのにも苦労する。

 だからこそ、私は生きているうちに次の肉体を手に入れる必要があった。

 が、問題だらけだった。

 肉体の年齢と親和性、何より肉体の依存問題があった。

 赤子と言えど、肉体(うつわ)には魂が入っている。最初は、魂と呼ばれるものを空にする、もしくは入っている魂を私に書き換えていた。しかし、もっとも効率がいいのは空の肉体であること。この結果にたどり着くまでに百年の月日が流れていた。

 次に親和性だ。元々が精霊である私は、普通の人間では、肉体が耐え切れず、当初、乗り移るだけで十分で崩壊していた。それゆえに、肉体における親和性が急務となった。

 最後に、乗り移った肉体にはそれぞれ異なる【能力】があった。ただの一般人でさえ。

 思うに、【能力】とは肉体に秘めている可能性ではないかと考察した。逆に、【異能】は、魂の形を示しているのではないかと思っている。正確には、魂というよりも人格の形とでもいうべきか。

 しかし、乗り移るたびに私の【異能】が何なのか調べ上げなけれならないのだ。

 苦悩しながらも、現在に至るまで『生』をやり直してきた。

 だけど、これまでを振り返っても苦悩しかなかった。

この『祠堂』という家を作ってからは単一生殖を繰り返し、歳月をかけて『私』をやり直す日々。

 人類を導く。

 私の行動原理はその言葉に尽きる。

 だが、もうその行動原理はボロボロだ。

 理解してしまったからだ。

 『人間を助ける意味はない』、と。

 存在矛盾である人間を。

 だが、私には『死』という概念がない。

 死ねないのであれば、終わらせることなどできない。

 だからこそ、引かれてしまった。

 

 『死』という概念を持つ存在に。

 

 何回も『死』を体験し、肉体はボロボロでありながら魂の輝きを放ち続ける異彩に。

 『彼』なら私を———。

 

 

 


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