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カストラート 〜傾国の歌劇(オペラ)〜  作者: nhhtn
動乱編

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霧の彼方へ


僕は踵を返し、子爵邸の敷地から全速力で飛び出した。

背後からは、心なしか僕の行方を怪しむ不穏な足音が近づいてきているような気がする。


一刻の猶予もない。

すぐにでもこの国を脱出しなければ、今度こそ本当に終わり(ゲームオーバー)だ。


((でも『ミーナ』!帝国も、王国も、共和国もダメだ……!大陸のほぼ全てがレオンとジュリアスの勢力圏になっちゃったよ!一体どこへ逃げればいいの!?))


人目を避け、あてもなく裏路地を走りながら必死に知恵を振り絞る。

実際には短く、だが無限にも思える地獄の逃避行。

僕に求められ、思考の末『私』が出した答えとは——。


『大陸がダメなら、海を渡るしかないわ!帝国の覇権が及ばない、独自の絶対的な海軍力を持ったあの巨大な島国……「ブリタニア諸王国」へ向かうのよ!!』


大陸の東からじわじわと迫り来る、帝国の容赦ない軍靴の音色。

親友に背を向け、僕は泥と汗にまみれながら、荒れ狂う海を越えるための唯一の希望――港へとひた走る。

世界最高峰と謳われた『権天使プリンシパリティーズ』の栄光から、今や大陸中を追われる最重要指名手配犯へ。

霧深きブリタニアの地を目指し、カストラートの少年の、命を賭けた本当の逃亡劇が幕を開けた――。


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