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カストラート 〜傾国の歌劇(オペラ)〜  作者: nhhtn
動乱編

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84/235

檻の中の暴露


「レオン!よかった、無事だったんだね!帝国に帰ったんじゃなかったの!?」


檻の向こうに立つ好敵手ライバルの姿を見て、僕は暗闇から這い出すように、思わず鉄格子を掴んで身を乗り出した。

王都が戦火とパニックに陥る中、彼はわざわざ危険を冒して、僕を助けにきてくれたのだろうか。

――だが、そんな僕の無邪気な反応に、レオンは心底呆れたようにその美しい顔を歪めると、ふっと底冷えするような冷酷な笑みを漏らした。


「ははっ……おやおや、驚いたな。まだそんな顔ができるなんて、本当におめでたいことだね。『権天使プリンシパリティーズ』筆頭殿?」

「え……?」


未だ状況が飲み込めない僕に構わず、レオンは残酷な真実を暴露し始める。


「では、改めて自己紹介しようか。僕の名はレオンハルト・フォン・ローデンブルク。『権天使プリンシパリティーズ』の一角にして――ローデンブルク帝国の第三皇子さ」


その瞬間。

僕の脳内で『私』が、最悪なパズルのピースが噛み合ってしまったかのような、凄まじい衝撃の声を上げた。


『――カース、違うわ!目を覚ましなさい!あいつ、あなたを助けに来たんじゃない!帝国のスパイだったのよ!王都のインフラや防衛施設の破壊工作も、不審な夜間外出を繰り返していたのも、全部レオンだったのね!!』

((な、なんだって……!?レオンが皇子……!?スパイ……!?))


「ふん。そのお粗末な王国産の脳みそでも、ようやく察しがついたようだね」


レオンは、かつてのクラスメイトとしての眼差しを捨て、冷徹極まる絶対強者としての視線を僕に注いだ。


「僕がこのぬるま湯の国へ、わざわざ身分を隠して来たのは、呑気に歌を歌うためなんかじゃない。内通者を募り、この無能な王国を内側から食い破るためだ。君の実家が我が帝国に城門を無血開城したのも、全ては僕たちが裏で糸を引いていたからさ。……君の可愛い弟君は、劣等感を刺激してやれば簡単に動く、実に扱いやすい神輿だったよ」


ジュリアスの暴走の裏には、レオンがいた。

信じていた仲間、共に高みを目指して切磋琢磨したはずのライバルに、すべてを仕組まれていたという残酷すぎる現実に、僕は目の前が真っ暗になった――。


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