天使失墜
『……はぁ、もう!本っ当に頑固なんだから、この子は!こうなったら一蓮托生よ、最後まで付き合ってあげるわ。ただし、絶対に油断はしないで!私の指示をよーーく聞きなさい!』
怒りながらも決して僕を見捨てず、呆れながらも寄り添ってくれる『私』の存在を脳内に強く感じながら、僕はひた走る。
やがて、怒号が飛び交う王宮の重厚な城門へと辿り着いた。
しかし、そこに待ち受けていた現実は――『私』の最悪の警告通り。
あまりにも残酷なものだった。
「おい、お前は……『SMPC音楽院』のカースか!?――いや、違う!売国奴トラッド辺境伯の長男だな!!」
「陛下への弁明だと?ほざくな、帝国のスパイめ!捕らえろ!抵抗するならその場で斬り捨てても構わん!」
僕の顔を認めた瞬間、門番たちの目が一瞬でゴウゴウと燃え上がる憎悪の焔に染まる。
かつて『王室公認の権天使』として僕を歓待してくれた、あの華やかで誇り高き王宮の面影は、もはやどこにも残っていなかった。
僕は一切の申し開きの余地すら与えられないまま、大の大人たちに手荒く組み伏せられ、引きずられるようにして王宮の最奥――薄暗い地下牢へと投獄されてしまったのだ。
ドスン、と冷たい石床に容赦なく投げ出され、鉄格子がガシャアン!と派手に絶望の音を立てて閉まる。
重く肌に纏わりつく湿った空気、そして不気味に響くネズミの鳴き声。
これが、数日前まで世界最高峰のステージに立ち、万雷の拍手を浴びていた僕の――一瞬にして奈落へと転落した、あまりにも冷酷な現実だった。
少しでも面白い、続きが気になると思ってくださったら、ブックマークや評価(☆☆☆☆☆)で応援していただけると大変励みになります!
基本毎日更新です。
今後もよろしくお願いします!




