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カストラート 〜傾国の歌劇(オペラ)〜  作者: nhhtn
動乱編

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分かたれた『権天使』


その日、突如として。

突き抜けるような王都の青空を埋め尽くすように、数条の信号弾が打ち上がった。

――空を真っ赤に染め上げる、不吉な狼煙。

それは【ローデンブルク帝国】との、全面開戦の合図だった。

天使の歌声に包まれ、平和を謳歌していた王国に、ついに最悪の『破滅のメロディ』が鳴り響いてしまったのだ。


「そんな……まさか本当に、あの帝国が攻めてくるなんて……」

「僕たち、このまま音楽院に残っていて大丈夫なのか……!?捕まったら殺されるんじゃ……」


昨日までの華やかな活気と歓声は、一体どこへ消え去ってしまったのだろうか。

世界最高峰と謳われた『SMPC音楽院』は、一瞬にして底なしのパニックの渦へと叩き落とされた。

迫り来る戦火の恐怖から逃れるため、最低限の荷物だけを大急ぎでまとめて、王都を脱出しようとする生徒たちが後を絶たない。

そして、その残酷な別れは――

僕たち『権天使プリンシパリティーズ』にとっても、決して例外ではなかったのだ。


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