緊迫する王都
だが、大量の転入生を受け入れてから時が経つにつれ、王都の空気は徐々に張り詰めたものへと変貌していった。
「おい、聞いたか?また北門の頑強な防壁に、まるで『力ずくでこじ開けようとした』ような不気味な痕跡が見つかったらしいぞ……」
「ああ。夜中に『外套を纏った怪しい人影』を見た、という噂もある。まさか、最近王都に急増した『外国からの転入生』の仕業じゃないだろうな……?」
原因不明の不審なボヤ騒ぎや、都市防衛施設の不具合が立て続けに発生し、王都の治安を預かる衛兵たちの警戒レベルは最高潮に達する。
そして、その外部の不穏な空気は、当然のように『SMPC音楽院』の内部にも飛び火した。
「おい、お前ら転入生組!最近夜中にこっそり寄宿舎を抜け出している奴がいるって噂だぞ。この不穏な情勢の最中、不審な行動は控えろ!それとも本当に何か企んでいるのか!?」
「くだらない言いがかりはやめろ!僕たちはただ、夜間練習室で技術を磨いているだけだ!お前たちこそ、僕たちの圧倒的な才能に嫉妬して、この学院から追い出そうとしているんだろう!?」
――不味い、不味すぎる。
せっかく僕の血の滲むような努力によって、楽器科と声楽科の溝も、王室と教会の溝も綺麗に埋めたというのに。
今度は【王国派(在校生)】VS【外国派(転入生)】という、より根深く、一歩間違えれば国際問題に発展しかねない『国籍の亀裂』が生じ始めてしまったのだ。
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