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カストラート 〜傾国の歌劇(オペラ)〜  作者: nhhtn
動乱編

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権天使の陰


権天使プリンシパリティーズ』の結成、そして世界中から押し寄せた最高峰の転入生たちの到来により、我が『SMPC音楽院』は歴史上かつてないほどの絶対的黄金期を迎えていた。

それに伴い、毎日のレッスンはまさに地獄のロードワークさながらに過酷を極め、劇場や王宮からのコンサート出演依頼オファーも爆発的に激増した。

僕とミハイル、そして帝国から来た天才レオンの3人は、互いの喉が張り裂けんばかりに超高音ハイトーンを競い合い、互いの卓越した技術を貪欲に盗み合い、果てはチケットの売り上げ枚数や個人宛てに貢がれるチップの総額に至るまで、ありとあらゆる要素でバチバチに火花を散らした。

まさに『切磋琢磨』という言葉をそのまま体現するような、脳が灼けつくほどに充実した日々。


「おいカース、今のフレーズはブレスの位置が甘い。そんな貧弱な基礎では、僕の至高のソプラノには一生追いつけないよ」

「ふふっ、相変わらず手厳しいね、レオン。でも、今のアリアの圧倒的な声量ボリュームなら僕の勝ちだよ?」


音楽院にレオンが転入してきてから、早いものでもう半年。

相変わらず普段は不遜でツンとした傲慢な態度を崩さない彼だったが――僕たち三人で息を合わせ、息を呑むほど美しい三重奏テオリアを聖堂に響かせるときばかりは、本当に幸せそうに、愛おしそうにその美しい唇を綻ばせるのだ。

レオンの音楽に対する情熱は本物だ。

僕やミハイルにも決して劣らない、狂気的なまでの熱心さがそこにはあった。


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