激動の時代へ
「『権天使』、か。ふっ、悪くない響きだ。カース、レオン、僕たち3人でこの音楽院の頂点を、いや、世界の頂点を競い合おうじゃないか!」
ミハイルが意気込みも新たに拳を握りしめて宣戦布告すると、レオンもまた不敵に、好戦的に鼻を鳴らしてそれに応じる。
学内の理不尽な格差を乗り越え、楽器科を味方につけ、ついには国家の絶対的な庇護まで手に入れた僕たちの前に現れた、世界レベルの新たな壁。
これ以上の犠牲者を出さないため、ただ生き残るために必死で始めた改革だった。
けれど、気づけば僕の周りには、背中を預け合い、切磋琢磨できる最高の仲間たちが揃っていた。
「うん、望むところだよ。僕たちの歌声で、今度は世界を驚かせてみせる!」
僕がそう宣言すると、脳内の『私』も
『よっ、センター!世界をドカンと揺らしちゃいなさい!』
と大はしゃぎでペンライトを振る仕草を見せた。
――そして、僕たちが輝かしい未来へ一歩を踏み出した、まさにその頃。
『兄を社会的に抹殺するために爆発物を手配したはずが、なぜか兄が国家と教会のトップに認められ、さらに世界最高峰の音楽ユニット「権天使」の不動のセンターに就任して国際的なカリスマになっていた』
という、もはや時空が歪んだとしか思えない怪奇現象(現実)を突きつけられた実家の弟・ジュリアスは——。
「権天使って何だ……!?僕はただの人間を排除しようとしていたはずだ……!兄上は、いつから天界の住人になったんだ……ッ!?」
と、あまりの事態のハイパーインフレに脳の処理が完全に限界を迎え、ついに知恵熱を出して寝込むのだった――。
少しでも面白い、続きが気になると思ってくださったら、ブックマークや評価(☆☆☆☆☆)で応援していただけると大変励みになります!
基本毎日更新です。
今後もよろしくお願いします!




