新たなビジネスモデル
こうして、国家の根幹を揺るがしかけた巨大な権力闘争は、僕たちの命がけの『あざとさ』と、脳内チートがもたらした『圧倒的経済効果』によって、見事なハッピーエンドへと調和された。
王宮からの帰り道。
ガタゴトと揺れる馬車の中で、僕とミハイルはどちらからともなく、がっちりと熱い握手を交わした。
「これからは、劇場での『定期コンサート』で手堅く富裕層のパトロンを掴み、王室公認の『ゲリラコンサート』で一般大衆から市場のチップを合法的に荒稼ぎする……。この完璧な二段構えでいこう、カース!」
「うん!これで僕たちの資金繰りは完全に無敵だね。理不尽に去っていった仲間たちの分まで、僕たちがこの音楽院を世界一の聖地にしてみせるよ!」
学内の理不尽な格差を叩き潰し、犬猿の仲だった楽器科を味方につけ、さらには王室や教会との巨大なパイプまで手に入れた僕たちカストラートクラス。
もはやこの王都において、僕たちの快進撃を阻めるものなど、何一つとして存在しなかった。
――国がひっくり返るほどの熱狂の裏、一方その頃。
『兄を音楽院で徹底的に孤立させて社会的に抹殺し、あわよくば物理的に消去する』ために、せっせと高額な刺客を送り続けていたはずの天才肌の弟・ジュリアスは。
「な、なぜだ……!兄上が王室と財務大臣を完全に抱き込んで、国家規模の音楽ビジネスの独占権を手に入れた……だと……!?意味が分からない、僕の送った暗殺者は一体何をしているんだ……っ!?」
と、自室で頭を抱え、あまりにも想定外すぎる状況のハイパーインフレに、十代前半にして本格的なストレス性の胃痛に苦しみ始めているのだった。
少しでも面白い、続きが気になると思ってくださったら、ブックマークや評価(☆☆☆☆☆)で応援していただけると大変励みになります!
基本毎日更新です。
今後もよろしくお願いします!




