脳内会議:あざと100%
『カース、ここが一番の勝負所よ!全員、一斉に外套のフードを外して!悲劇の爆破事件を奇跡的に生き延び、それでもなお健気に歌い続ける「薄幸の美少年」のビジュアルをフルに活用するのよ!膝をついて、視線はあざとく上目遣いに!声はワントーン高めで、消え入りそうにしおらしく!!』
((了解、『ミーナ』!任せて!))
僕は内心で不敵に頷くと、隣のミハイルや仲間たちにだけ聞こえる極小の囁き声で、素早く合図を送った。
「(ミハイル、みんな。僕の合図に合わせて一斉にフードを払うんだ……。いくよ、3、2、1……今だっ!)」
僕たちは一斉に地味なフードをバサリと跳ね除け、その磨き上げられた可憐なカストラートの容姿を、謁見の間の白日の下に晒した。
そのまま流れるような動作で美しい大理石の床に膝をつき、まるで神に救いを求めるかのように胸の前でそっと手を組む。
そして、今にも泣き出しそうな、けれど鈴の音のように澄んだ極上のボーイソプラノで弁明を始めた。
「国王陛下、ならびに諸公の皆様……。私どもの未熟で至らぬ行動により、王都の皆様の生活に多大なるご迷惑をおかけしてしまいましたこと、心の底から深くお詫び申し上げます。ですが、どうか……どうかお慈悲をもって、私たちの言葉をお聞きください……っ」
一瞬だけ、まつ毛を濡らして潤んだ瞳を国王陛下へと向ける。
「先の凄惨な爆破事件で、私たちは多くの愛する仲間と、大切な活動資金の全てを失いました。私たちはただ、理不尽に夢を奪われた仲間の無念を背負い……この世界から美しい音楽の灯火を絶やさぬために、必死に、ただ必死に歌う場所を探していただけなのです……っ」
完璧な計算に基づいたあざとい演技――もとい、心の底からの健気な訴え。
その瞬間。
玉座のすぐ隣に座っていた、華やかで絢爛なドレスをまとった王妃殿下が、「お、おお、まぁ……! なんて痛ましい……!」と両手で口許を覆い、瞬時にその美しい瞳に大粒の涙を潤ませた。
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