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カストラート 〜傾国の歌劇(オペラ)〜  作者: nhhtn
学院編

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大熱狂の代償


僕たちの仕掛けた『ゲリラコンサート』は、文字通り王都全域に爆発的な旋風を巻き起こした。

事前の告知は一切なし。

それなのに、市場の喧騒のど真ん中で、地味なフード付き外套ローブを一斉に脱ぎ捨てた僕たちが突如として歌い出すと、この世のものとは思えない圧倒的な美声に、足を止めない者など一人もいなかった。


「こっちだ!天界の……神の歌声が降臨したぞ!」

「キャーー!天使さま〜!こっち見て〜!!」


広場を埋め尽くす通行人たちは我先にと殺到し、僕たちの足元に置かれた帽子やカゴへ、ジャラジャラと凄まじい勢いでコインを投げ入れていく。

鳴り止まない、熱狂的な「ミューズ」コール。

完全に味をしめた僕たちは、第2回、第3回、第4回と、場所も時間も不定期にゲリラコンサートを敢行。


「次は一体いつ、どこにあの天使たちが現れるんだ!?」


飢餓感を煽られた聴衆の口コミは、瞬く間に王都の裏路地から高級サロンにまで広がっていった。

結果、僕たちの手元には、あの強欲な学長の目玉が本当に飛び出るほどの『潤沢な資金』が転がり込んできたのだ。

これだけの利益があれば、カストラートクラスのガラス細工のような過保護待遇を何一つ削ることなく維持しつつ、楽器科の最新機材や設備投資にもお釣りが出るほどの十分な予算を回せる。

不満分子も一掃され、音楽院は完璧に強固な僕の砦となった。


すべてが完璧。

僕たちのゲリラ作戦は大勝利―――のはずだった。


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