奇襲作戦、始動!
「……それだッ!!」
僕は思わず、地図が広げられたデスクを大きな音を立てて叩き、勢いよく立ち上がった。
「カース!?どうしたんだい急に」
驚いて肩を跳ね上がらせるミハイルに向き直り、僕は脳内で弾けた完璧なプランを、熱の籠もった声で一気に語りかける。
「ミハイル、開催場所を固定するのも、事前に大々的に告知するのも全部やめよう。僕たちは王都のあちこちにある市場や広場に、抜き打ちで、神出鬼没に現れて歌うんだ。題して――『ゲリラコンサート』さ!」
「な、なんだいその不穏な名前は!?……でも、確かに。直前まで場所を明かさなければ、刺客に狙い撃ちにされる心配は万に一つもない。僕たちの喉という『楽器』は、身一つでどこへでも持ち運べる最強の武器だ……。いける、いけるよカース!」
ミハイルの瞳が、これまでにない希望の光でキラキラと輝き始める。
貧困から売られてきて、いつも怯えていたクラスメイトたちも、この方法なら襲撃の恐怖に怯えることなく、心から安心してその歌声を響かせることができるはずだ。
「よし!栄えある最初のターゲットは、王都で最も人が往来する『中央大市場』の正午だ。ミハイル、みんなに伝えて移動用の地味な外套を準備させて。さあ、僕たちの新しいステージの始まりだ!王都中の度肝を抜いてやろう!」
刺客が場所を特定して罠を張る、その一歩先へ。
僕たちは風のように現れ、圧倒的な歌声で民衆を魅了して稼ぎ、そして追っ手が気づく前に風のように去る。
陰謀渦巻くこの残酷な世界で、僕たちの命と愛する音楽を守るため、前代未聞の『ゲリラ作戦』の幕が、いま鮮烈に切って落とされる——!




