不協和音から共鳴へ
「やったな、カース!これで楽器科の連中も、僕たちを目の敵にしなくなるぞ!」
学長室の重厚な扉が閉まった瞬間、ミハイルが弾けたような笑顔で僕の肩を叩いた。
その瞳には、久しぶりに曇りのない歓喜の光が宿っている。
「うん。でも、本当の勝負はこれからだよ、ミハイル。理不尽に傷つけられたみんなの夢を守るためにも、僕たちの歌声で、この学校を――ううん、王都中を熱狂させてやろう!」
後日。
学内の巨大な掲示板に、『各科への予算平等分配』と『カストラートクラスによる定期チャリティコンサートの開催』が同時に張り出された。
その瞬間、音楽院内には地鳴りのような驚きと、それに続く楽器科の生徒たちからの割れんばかりの歓声が沸き起こった。
「おい、マジかよ……!削られてた俺たちの予算が戻るぞ!」
「カストラートの連中が、自分たちのステージで稼いだ金から補填してくれるって本当か!?」
「あいつら……俺たちは酷い陰口を叩いてたっていうのに……!」
学内を重苦しく包んでいたギスギスした不協和音が、少しずつ、けれど確実に、ひとつの美しい旋律へと調和していくのを、僕は肌で感じていた。
((ジュリアス。君が僕を孤立させ身も心も引き裂こうとしたこの音楽院は、いまや僕たちの歌声と新しく紡がれた絆で満たされた、何者も寄せ付けない強固な『城』へと生まれ変わりつつあるよ))
実家の権力も、陰謀による孤立工作も、もう僕たちには通じない。
さあ、幕を上げよう。
僕たちの、世界を巻き込んだ鮮やかなる反撃のステージを――大陸全土へ響かせるために!
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